「地球規模で考え、社会に貢献できる人材の育成を目指しています」
西原 真弓 教授(国際交流・留学センター長) 上野 葉子 教授(国際文化学部 英語学科主任)
[コース概要] 今回の「SDGsオンライン探求フィールドワーク」は、活水女子大学様と福岡女学院大学短期大学部様との合同でフィールドワークへご参加頂きました。 SDGs探求コースでは、遠隔地にいる同世代の学生とSDGsの課題を通して、課題解決のためのプロジェクト企画完成を目標に、2つのタスクにチャンレンジしていただきました。1つは、フィリピンにいる同世代の学生と英語で意見交換しながら課題解決を探求することです。文化背景や環境が異れば、同じ課題であっても同じ解決のアプローチが必ずしも最善策にならないこともあります。違いに気づくためには、情報の共有や意見交換など、他者と関りながら多様な視点を取り入れていくスキルが必要です。2つ目は、国内の遠隔地にいる福岡女学院大学短期大学部の学生様と短期間で、ロジカルに課題解決のためのプロジェクト企画を完成させることでした。非同期の時間もICTツールを駆使したり、グループの意見をまとめるために課題解決のフレームワーク(PCM分析)を使ったりしながら、チームごとに工夫をして意見をまとめて頂きました。そして最終日は、チームごとに「課題解決のプロジェクト企画」発表と、よりよい社会にするため、個人の活動目標(ワンアクション)を宣言することでした。
今回特に国際文化学部英語学科の学生に参加してもらいました。コロナ禍で、留学に行けない学生達が、Stay homeを続けながらも海外に目を向け、新たな世界と繋がる経験をするのに良い機会になると思い参加を決めました。英語や国際事情を専攻とする学生に限ったことではありませんが、今後の世界で責任ある社会人として生きていくためには、SDGsのような課題に自ら取り組む姿勢こそが必須であると考えます。QQEnglishのプログラムは、バーチャル映像などで間接的に学ぶのではなく、フィリピンの同世代の学生との情報交換や現地でボランティア活動をされているDAREDEMO HEROの責任者からお話が伺えるというもので、(オンラインではありますが)直接現地の人たちの顔を見て声を聞いて問題を感じ取るリアルな経験であることが、何より価値があると思いました。このプログラムでの経験は、今後学生たちが、世界の問題に「自分事」として取り組み、自らアクションを起こしていくための貴重な土台になり得ると考えました。教育機関は、明日を担う若い世代に対し、将来の可能性につながるこうした機会を提供する責任があると思います。また、学生たちは、今回フィリピンの学生さんたちの事情や考えを聞くために英語を使っていたと思いますが、そのように、学校の科目として学んできた英語が、SDGsのような課題解決のために必要となる場面があるのを実感できることも有意義なことであろうと思いました。このような理由で、このプログラムへの本学学生の参加を決めました。
春季休暇期間中にオンライン研修プログラム参加を希望している学生達を集めて、このプログラムを紹介しました。 このプログラムは英語力向上だけを到達目標としているものとは違い、他の研修プログラムとの違いが明確でした。このQQEnglishのプログラムでは、英語力、SDGsに関する理解、思考力の向上が目標とされていることを伝えました。フィリピンの大学生たちと直接話をしながら現地の声を実際に聞き、共に課題を明確化し解決に向けての具体的行動を考えたいと思う人たちにお薦めのプログラムであると説明しました。また、SDGs探求フィールドワークの前に30回分のマンツーマンの英会話レッスンを受けられるので、ある程度英語でのコミュニケーションに自信をつけて臨むことができることも魅力的なプログラムであると紹介しました。
今回のような活動プログラムは、遠隔地にいる学生同士がオンラインであるからこそリアルタイムで繋がることができました。最近では、実際にお会いすることができないような方をオンラインでお招きし、大学の授業内外で講演や双方向のやり取りを企画・実践したりしています。このような非日常的な学びは、学生にとっても大変意義深いものであると思っていますので、さらに充実させたいと考えています。
ご参加頂きました学生(k.S)様からのコメント
有効であったと思います。フィールドワークの取り組みは一人だけの作業ではなく、チームの仲間とそのテーマについて考え話し合いながら解決策を導き出していかなければいけないため、オリエンテーションを通して協働する仲間同士を知り、コミュニケーションをとる機会を与えてもらったので、フィールドワークを円滑に進めていく事ができました。初対面の上にオンラインという環境であったので、いきなりフィールドワークを始めてしまうとうまく連携も取りにくくなってしまいチームのメンバーを知るところから始めなければならないのでオリエンテーションを行ったことでスムーズにフィールドワークに取り組むことができました。
主観やインターネットからの情報、そして日本人目線の情報だけでは得ることができない本当のフィリピンの現地の状況や社会・環境の事について知ることができました。また、日本人とは全く違う文化や考え方を持っているフィリピンの学生たちと話をすることで、客観的に問題について考えることができ、フィリピンよりも日本の方が問題がある事など自分が全く知らなかったこと、考えもしなかったことを学ぶことができました。
今回のフィールドワークを通して英語のスピーキング力やリスニング力ももちろん不足していましたが、それらよりも日本の事をしっかりと理解していなかったために、フィリピンの学生たちに日本の事を聞かれても確信のないまま説明してしまったり、分からずに答えることができなかった部分もありました。事前準備として、SDGsの事についてインターネットで深く調べてある程度の知識をつけておくことも大切ですが、日本の事をしっかりと理解しておくことが必要であるのでインターネットでの検索や私生活の振り返り、周りの環境や情報を知っておくことが必要だと思います。
苦労した点は、遠隔地であるため電波の影響で接続状況が悪くなってしまいフィリピンの学生たちとのコミュニケーションがうまくとれないことがあったことです。発言が聞き取れなかったり、逆に相手にうまく伝わっていなかったりといった場面が少々あり、少し苦労しました。
良かった点は、実際に会うことができなくても相手の顔を見てコミュニケーションをとることができたことと、Jamboardやその日のHomeworkなどしっかり構成されておりどこに何をすればいいのか分かりやすくスムーズに活動に取り組むことができたところです。また、ZOOMで話し合いながらJamboardなどを同時に操作することができ、リアルタイムで情報を共有しあえたのでその場に皆がいるように進めていく事ができたことです。
リフレクションを行うことでその日に行った活動の内容を改めて振り返り、頭の中で整理すると同時に書き出して形として整理することができました。その日の活動内容で最も大切な事や自分の気づき・反省・改善点についてしっかりと考えて次の活動に繋がり取り組みやすくなったので、リフレクションを有効活用することができたと感じています。
また、リフレクションを通してその日の内容をより深く考えることができたのでYes/Noだけでは終わらない深く彫り込んだ質問を考えることができました。彫り込んだ質問をすることでより深く詳しい情報を得ることができるため、リフレクション前は思いつかなかったことがリフレクションを行って深く考える事で様々な質問が出て、そこから私たちにとっての当たり前はフィリピンの学生たちにとっては当たり前ではない事を学ぶことができ、私たちを基準に物事を考えてはいけないという事も学ぶことができました。
最近では日本でも「SDGs」という言葉をよく耳にするようになり、私自身も自分なりにインターネットなどで調べてある程度の事は知っていると思っていましたが、このフィールドワークを通して自分が知らないことが多々あることに気づきました。SDGsの問題について実際にフィリピンの学生たちから話を聴き、SDGsの本質やフィリピンの現状・問題そして日本の現状・問題について学ぶことができ、改めて自分たちの環境を深く考えさせられとても良い経験となりました。また、ただ問題を挙げて考えていくだけでなく論理的な問題の捉え方や論理的な解決方法も学ぶことができ、これから有効活用していきたいと思いました。コロナ禍という深刻な状況の中でもオンラインという形ではあるもののまるで現地にいるかのように質の高い活動をすることができたのでとても良かったです。そして何よりも本当に楽しくフィールドワークに取り組むことができました。