HENNGE株式会社 様
業種:3
担当者:執行役員 社長室室長
汾陽 祥太様
社内の取組みとして英語公用語化をスタートさせてから5年経過したと伺っております。まずはどのような経緯で英語公用語化を決定されたのか、お話をお聞かせください。
2014年に『社内公用語を英語にしよう。』と社内で決定しました。
その経緯として、まず2013年に「ITエンジニアの枯渇に伴う、技術者の雇用に苦しむ時代」を迎えました。これがきっかけで弊社から他社へ転職してしまったり、中途採用・新卒ともに優秀なエンジニアの雇用に恵まれない状態に陥りました。まさに採用難の時代でしたね。折しも、2011年にリリースした、我々の主軸となる『HENNGE One』というクラウドログインサービスをこれから伸ばしていこうとしていたタイミングだったため、エンジニア不足により非常に苦しかったのですが、タイミングよく、その当時シンガポールの大学でコンピューターサイエンスを勉強していたベトナム人のエンジニアがインターンを志望し、弊社にやってくることになったのですが、これがトリガーとなりました。
彼を受け入れるにあたり、社内では「彼は日本語を話すことができず、且つ社内で英語やベトナム語が堪能なスタッフもいない」という問題について何度か議論を重ねましたが、最終的に「ITだし専門用語とチャット等のツールを駆使すれば英語で何とかコミュニケーションを取ることは出来るだろう」という意見で合致し、彼の受け入れを決定しました。
実際彼は非常に優秀なエンジニアで、その当時日本人のみで構成されていた組織の中に良い意味で異文化の流れが出来て非常に皆刺激を受けたのです。彼の働きぶりから、卒業後にぜひ当社で働いてほしいとオファーを出したのですが、彼からは「いくつかの事情でシンガポール国内で就職しなければならない。」と断られてしまいました。
ちなみに、シンガポールでの新卒の年収について尋ねたところ、なんと日本円で800万円位との返答があったのです。非常に驚きました。その当時、GAFAレベルだと新卒で1,500万円の時代でした。日本国内でもゲーム会社は(通常のIT企業より)相場にプラス100万上乗せしてオファーしている時代でしたが、ここまでオファーの差があるということに愕然としました。
さらに、こちらの彼は万が一シンガポールで就職できずべトナムに帰国した場合、なんと年収は60万円になるのです。この話を聞き、私は「彼のような問題を抱えた優秀な外国人エンジニアは世界中にいるのではないか?」と新しい人材発掘のきっかけを掴んだのです。
なるほど、非常に興味深いお話です。この後、汾陽様は実際に海外の大学や就職市場でリクルート活動を行ったのでしょうか?
はい、ベトナムの彼を通して各国の大学の状況から調べてみました。
どの国にも東大・東工大レベルの国立TOP校は存在しているんですよね。いわゆる国立のNo.1と国立の工科大学No.1ですね。
早速近場のアジア諸国からそのような大学を訪問してみたのですが、やっぱり彼のような優秀なエンジニアが沢山いました。
若くて、しかも日本好き。日本のアニメや文化が好きな学生が沢山いたのです。彼らにオファーしてみたのですが、全員口を揃えて「でも、自分は日本語を話せないから働きたくても日本では働けない」と言っていたんです。それが非常に残念で悔しかった。
どうすればこの優秀なエンジニア達を迎え入れることが出来るのかを考えた結果、「僕たち日本人が英語を話せばいいんじゃないか?」という結論に至りました。
だって彼らは、日本語を話せなくても英語は堪能な訳ですから。そこから英語公用語化に向けた計画がスタートしました。
ありがとうございます。では次に、オンライン英会話や留学を使いどのようなステップで英語公用語化への取組みを進めてきたか、そのお話をお聞かせ頂けますでしょうか?
英語公用語化……決して平坦な道のりではありませんでした。
もちろん反対の声も多数あがりました。「英語を話すようになる前に目の前の仕事を終わらせなければいけない」と、罵声を浴びせられたこともありました(笑)。
その当時、英語公用語化の担当者は私の前任者が対応していたのですが、彼が色々調べた中でDMMさんとQQ Englishさんのオンライン英会話を採用したと聞いております。
当時の決定理由としてはコストメリット。さらにQQ Englishの場合はセブ島留学もあったので、それをどう活用するかも新たな課題として考え始めました。
QQ Englishの営業の方に弊社にお越しいただき、オンライン英会話の概要、レッスン受講方法のガイダンス等のオリエンテーションを開催いただいたのは非常に大きかったですね。
それによりこれまで英語学習自体に意欲がなかった社員もモチベートされて自発的にオンライン英会話で学習するようになりました。
また、とりえあず現在の英語レベルを測定することから始めようという話になり、TOEIC(LR)を団体受験で受けてみたのですが、社内の平均スコアは……なんと495でした。
この平均点をスタートとしてどのように平均点を上げていくか、社内で検討し始めました。その中で社員をセブ島留学に派遣するというアイデアが出てきて、どのような人材を派遣するべきか皆で議論した結果、「今後のポジションが期待できる人材、且つ英語が苦手な人材に絞ってみよう」という話になり、当時のマネージャー職の人材をセブ島に1か月語学留学で送り込もうという結論に至りました。
我々は「セブ送り」と呼んでいます(笑)。
なるほど、そのような経緯で語学留学研修もスタートした訳ですね。第一号の方の反応はいかがでしたか?
いやー、驚きました。最初はネガティブなイメージを持って渡航した彼でしたが、1か月間留学した後は完全に自信をつけた状態で戻ってきました。QQ Englishさん素晴らしいですね(笑)。
1か月のご留学でどのような刺激を受けられたのか非常に気になります。どのような部分が効果的だったのでしょうか?
単純にリゾート地で仕事から離れて学習に集中出来たので、その限られた時間を楽しめたようですね。
まず会社からは「1か月間100%英語に集中すること。一切仕事はしないこと。国内の社員に連絡も取ってはいけない」とかなり厳しめの命を下していたので、彼は事前に引継ぎを行い、任務を全うしてくれました。
すごいですね。もちろん底力もあっての成果だと思いますが、ご本人様からも何かコメントはありましたか?
1か月間給与も出て、エアチケット、留学費用一式も全て会社持ちという状態で、良い意味でのプレッシャーがあり、語学に集中できたと言っていました。
彼の努力により、初の留学施策が本当に大成功を収めたので、また第二号として誰を行かせるか社内で再度協議し始めたのですが、
そこで白羽の矢がたったのが、当時翌年の新卒内定が決まっていた若手エンジニアでした。
彼が内定した頃はまだ、社内で英語公用語化は決定していなかったので、英語公用語化が決定したことと共に、
卒業前に1か月間セブ島に語学留学に行ってほしい旨を伝えると快諾して行ってくれました。
もちろん彼も一般的な学生でしたので海外留学経験はない状態でした。
その方に関しては1か月間のセブ島留学の効果はありましたか?
その当時TOEIC500位のレベルだった彼でしたが、1か月の語学留学を通し英語学習意欲が高まったようで、今や社内で一番英語を話せます。
TOEICも950を超えています(笑)。
語学留学から帰ってきて春から開発畑で新卒として働き始めたのですが、その時期から海外エンジニアの雇用も始めたため、
英語を話せるようにならないと仕事ができない環境下に置かれたことで益々学習意欲は高まったようですね。
本当に努力したと思いますし、そのきっかけ作りとして1か月間の語学留学は非常に刺激的だったと本人からも聞いております。
当社としても投資以上の価値を得られたと認識しております。
ありがとうございます。では次に、汾陽様ご自身のお話をお聞かせいただきたいと思います。汾陽様ご自身、既にカランメソッドはStage12をクリアされておりますよね。カランメソッドを受け始めた理由からお聞かせ頂けないでしょうか?
当時、社外の友人の中に、たまたまカランメソッドを受けている方がいたのです。
2014年1月頃、彼と食事している時にカランメソッドの存在を教えてもらったのがきかっけでした。
ちょうどその頃、当社でも英語公用語化の一環でオンライン英会話の受講も推奨されていたので、とりあえずカランから始めてみようと思いました。
Q:ありがとうございます。全12Stageと非常に長い道のりのため、中にはStage4あたりでリタイアされる方もいらっしゃいます。汾陽様ご自身、カランをやめようと思われたことはなかったのでしょうか?
A:いや、まさに。一度カランをやめてしまった時期もありました。
2か月間だけお休みしました。中々の修行ですからね。
そこから復活を遂げるまでのストーリーももちろんあります。
その当時、仕事で海外のIT企業のカンファレンスに参加した時、シンガポールの方が話す英語を聞いて驚きました。
一緒に参加していた(ITの現場ではないバックオフィスの帰国子女の方)は「何を言っているかわからない」とコメントしていました。
決してネイティブの発音ではない。でも、自分には彼が何を話しているか分かったんですよね。結局IT用語は共通ですから。
そしてその少し前までカランメソッドを受けていたのでそこで培ったリスニング力は伊達じゃないと思いました。
そして、これこそが英語で仕事をするということなんだなと実感した瞬間でした。
僕が拙い英語で話しても相手は理解してくれましたし、完ぺきではない相手の英語を僕が理解することが出来る。
このコミュニケーションこそがリアルだと実感したのです。そして、その後カランを再開し、最後まで完走したいという気持ちのまま2018年1月まで走り続けました(笑)。
カランメソッドの魅力はどのようなところにあるとお考えですか?
僕が思うに、カランメソッドが一番楽。
予習もいらないですし、とりあえずその場にいてレッスン中に集中すればそれだけでレッスンになる。
他のトピックカンバセーションなんかと違い発話量もキープできる。
もちろん事前の予習、レッスン後の復習をすることもありますが、基本的には聞き取りに慣れているのでレッスン中に集中し、フルブックリビジョンで復習を補うようにしています。
更に、カランで学んだ言い回し、すごく使えますからね。ビジネスの場でもよくフレーズは多用しています。
基礎を学習したい方には打って付けの学習法だと思います。
カランメソッド以外に英語学習法でおすすめはありますか?
ビジネス英語を学習したい方にはなんといってもTOEIC(LR)が良いと思っています。
TOEICの試験対策をすることでビジネス英会話の基礎語彙や表現を自然と身に着けることが出来るので、カランで学んだフォーマットと組み合わせれば最強ですね。
汾陽様が強い意欲を持って英語学習を進めていったとしても、社内全体で「英語公用語化」を推し進めることは楽な道のりではないと思いますが、社内にこの取り組みを浸透させるために心がけたことはありますか?
こと企業に関して言うと、英語学習を浸透させるポイントは2つだと思います。
まずはトップダウンで、トップがやる。トップがやって、自分がやったことを示していくことが重要だと思います。
トップがやれって言っても、自分がやらないのでは社員はなかなかやらないですよ(笑)。
なるほど。トップが率先して実現するために行動することが重要ということですね。
その通りです。もうひとつは英語学習に関する責任者を置くことですね。
できればその人が苦労をして英語を学んだ経験のある人だとなお良いですね。
責任者の方は英語が上手く使える必要はないかもしれません。ただ、他の人より学習が進んでいたり、英語学習に対する意欲のある人が望ましいと思います。
そういった人が他の社員に寄り添って、「ここは苦労するよね」「勉強してこういった所が詰まるよね」という経験を伝えてあげると、とても心強いですし、社員の学習も捗ると思います。
確かに「何からどうやればいいのか」ということが分からない方も、サポートしてくれる方がいると心強いですね。
仰る通りです。自分の場合も、自分で学習した経験を社員に伝えられたことが大きかったです。
何から始めたらいいのか分からず、尻込みしている社員に対して
「毎朝9時に出社してるよね。じゃあ、頑張って30分早く来よう。8時半から2週間分のレッスン入れちゃおう。
前日飲み会があって遅くなったとか、その日は客先に直行とか、
そういった場合でも1時間前までにキャンセルすれば大丈夫だから。
そのキャンセルが間に合わなかった場合でも、最悪会社のお金だから大丈夫だよ」と伝えて、
まずはオンライン英会話を習慣化させることを目指します。
これは自分の功績なのですが、現在弊社の社員はQQ Englishのオンライン英会話が受け放題なんですよ(笑)。
素晴らしいですね。ありがとうございます(笑)。
最初はそれほど英語に対する意欲のなかった社員でも、習慣化するように毎日レッスンの予約を入れれば、だいたい8割ぐらいは受けるんですよね。
20営業日あれば16レッスンは受ける。それを3か月もやれば社員の意欲も変わってくるんですよね。
「次はどういうことをしたらいいですか?」「何をやったらいいですか?」という質問が上がってくるようになる。
そういった時に責任者が「単語の強化をしてみたら?」「簡単かもしれないけど、中学校レベルの英文法から見直すのもおすすめだよ」「カランだけじゃなくて、他のカリキュラムを受けてみたらいいんじゃないかな」とアドバイスをして、社員一丸となって切磋琢磨しながら英語のレベルを上げて、社内の「英語公用語化」を目指す。
全員がTOEICスコア900点を越えて、英語に対するハードルもなく、外国籍の社員ともスムーズにコミュニケーションが取れる。
そんな組織にするべく社内の英語学習に取り組んでいます。
このような英語学習の取り組みをスタートしてから5年が経過し、現在の社員全体の英語力はいかがでしょうか。
前述の通り2013年時点では社内のTOEIC平均スコアは495でしたが、現在はなんと760まで上がっております。
世の中の流れも変わり、新卒においては入社時点でTOEICスコア900以上の方も多く、皆切磋琢磨しながら楽しんでオンライン英会話を活用しております。
僕はまず基礎をつけるためにカランメソッドを受けることを勧めていますが、とにかく、基礎を身に着けなければ試合には臨めない、実践の場では使えない。
これをモットーに、社員ひとりひとりのために英語学習は引き続き支援して行きたいと思います。
英語が勉強出来るならそれは、他の領域でも自身のスキルアップをはかるだけのポテンシャルがあるということですから。