第1章 オンライン英会話編
第18話 4倍速メソッド「カランの奇跡」
世界最強軍隊式メソッド
私が10年前のフィリピン留学でやった学習方法はとにかく文章で覚えると言う事でした。
始めは頑張って単語だけを覚えたのです。先ず2000語でした。
しかし単語を覚えただけでは全く使えなかったのです。イタリア人とバイクの話をしたくて勉強をしているのに会話ができないのでは話になりません。
会話で使うセンテンスごと覚えなくてはならないと思い直し、今度は本屋さんで薄い会話集のような教材を見つけて丸暗記することにしたのです。
オンライン英会話とフィリピン留学で朝から晩まで繰り返しました。セルフスタディー用の教材なので先生に読んでもらって、次は一緒に読む。その後はひたすら繰り返しているのを聞いてもらうだけの学習です。とにかく話せるようになりたかったので文章を正確に覚える事だけをやりました。
文法も、リーディングも、何もやらず決まったセンテンスを喋ってばかりいました。
とても効率の悪いお勧めできるような勉強法ではなかったのですが、よく似たメソッドを見つけたのです。
まず英語を会話から学ぶ方法としてコミュニカティブアプローチと言う考え方があります。特に状況ごとの会話を重視して学習していきます。どちらが優れているかは別にして私が見つけたメソッドはオーディオリンガルと言う考え方なのです。アメリカ軍が戦争中に味方の国との早くコミュニケーションを取るために開発したと言われています。使える英語、通じる英語をより早く達成させる事を目標としたメソッドです。必ず教師と生徒の間で行われ生徒が間違った英語を話したら即直していくのが特徴です。
「機械的反復による過剰な練習こそ自発的反射神経が形成し話せるようになる」と言う考え方なのでとにかく辛くて大変な勉強法です。
コミュヌカティブは友達どうしでもできる意思疎通が目的なメソッドなので正確な英語を話す事に重きを置いていません。日常に使う会話を中心に楽しく学ぶ為に色々な工夫がしてあるのです。
いろいろな考え方や勉強法があるのですが英語の学習とダイエットは似ていると思っています。「簡単に痩せる」とか「一週間で痩せる」とか「何かをしているだけでいつの間にか痩せる」とかよく聞くフレーズです。この「痩せる」と言う部分を英語に置き換えると面白いです。
「簡単に英語が話せる」「一週間で英語が話せる」「聞いているだけでいつの間にか口から英語が出て来る」まさにダイエットそっくりなのです。
私が英語を勉強した経験からすると簡単にも話せるようになりませんし、一週間では話せるようになりません。まして聞いているだけでいつの間にか口から英語が出て来ることもありません。
ダイエットで簡単に痩せられるものはありませんが早く痩せる方法はあると思っています。昔流行った「ビリーザ・ブートキャンプ」を覚えていますか?軍隊式のダイエットです。一週間は無理でもあれだけ運動すればいやでも痩せます。
オーディオリンガルはまさに軍隊式の英語学習法なのです。もっとも軍隊で怖い上官の命令でしぶしぶ頑張るメソッドなので結果はでるのですが一般受けはしませんでした。
体育会系メソッド・カラン
ロンドンで密かに有名な英会話学校があります。とても辛いけど早く英語を伸ばしたいならカランに行くと良いよ。
その学校が開発したのがオーディオリンガルを基にしたカラン・メソッドなのです。
カラン・メソッドは「4倍のスピードで伸びる」と謳っています。ケンブリッジ検定に合格するのに通常350時間かかるのが、わずか80時間で合格できるからです。しかもその合格率が95%。現在ヨーロッパを中心に世界30か国、およそ400校の語学学校で採用されている日本でも知る人ぞ知るというメソッドなのです。
カラン・メソッドを採用しようと思いました。しかし何のコネクションもありません。セブからいくらアプローチしていても上手く行きませんでした。バイクの輸入を始める時を思い出しました。直接乗り込んで自分の言葉で話し人間関係を作ったのです。今度も例え無駄足になろうとも行くしかありません。教科書開発が遅れていた焦りもあって思い切ってロンドンへ乗り込んだのです。
お土産屋がたくさん並ぶオックスフォードストリート中ほどの歴史ある素敵なビルでした。授業をする建物とマネージメントがいる建物が一軒挟んで2棟あります。無理なお願いだったのですが新しい「縁」ができました。当初予定になかった社長のトムさんとミスターカランの甥のチャールズさんとお会いできたのです。
フィリピンでオンライン英会話をやっていると聞いてとても驚いていました。私達の教材に対する悩みを親身に聞いて頂き相談に乗ってもらえたのです。
食事は会員制のクラブに招待されました。昔、チャーチル首相も会員だった由緒正しいクラブです。
ロンドン中心部の歴史あるビルなのですが入口に看板はありません。中に入ると執事が名前を呼びながら丁寧に迎えてくれます。コートを預けて中に入いると美術館のような空間が広がりその奥が食堂でした。
もちろんメニューに値段はありません。会員のホストがオーダーを自分で記入してウエイターに渡すのです。トレーに乗せて運ばれて来た食事はここがイギリスなのかと疑うほど美味しかったです。
食後のティーは図書室に移動して何百年も前の本に囲まれて頂きました。
4倍のスピードを正しく体得する
話が進んでカラン本校のトレーナーをセブに送り込んで頂けることになったのです。
「カラン・メソッドは正しくやらないと効果がでない。見よう見まねではなく正確に覚えなさい。私達が協力するから」
私達はオンライン英会話とフィリピン留学で初めて正式なトレーニングを受けた認定書を頂くことができたのです。
「縁」に出会えたのは英語を話す事ができたからだと思います。ビジネスでは完璧な英語を話さなくてはならないと思っている方が多いですが決してそんなことはありません。細かい契約の内容を詰めるのには必要でしょうが先ず人間関係を構築できなくてはビジネスが始まらないのです。
通訳を連れていたのでは親しくなることはできません。たとえ下手でも自分の言葉で話せば新しい道が開けるのです。
カラン・メソッドとはロンドンで50年以上の歴史がある特訓型、英語学習法です。
「4倍のスピードで伸びる」がキャッチフレーズですが、ようは「たくさん聞いて、たくさん話す」メソッドなのです。
決まったセンテンスを先生のガイドでひたすら繰り返す特訓メソッドで一対一のオンライン英会話やフィリピン留学にとても相性がいいです。学習が終わると心地よい疲労感があるので、まるでスポーツのようなメソッドです。私がやっていた方法を効率よくして、文法もネイティブの話し方まで学べる素晴らしい学習方法だったのです。
明治大学での実証実験
英語が伸びるとうたっている英会話学校はたくさんありますが公的機関で実証実験した学校は少ないとおもいます。
そもそも「4倍のスピードで伸びる」など怪しいキャッチフレーズなので調べてみることにしました。
昨年、明治大学「文明とマネージメント研究所」と提携し、学生21人にカラン・メソッドで英語を勉強してもらいました。私達のオンライン英会話の授業で80時間、マンツーマンでカラン・メソッドを受講していただいたのです。その結果、TOEICのスコアが平均110点あがりました。250点もスコアをあげた生徒もいました。
「4倍のスピード」であるかは証明できませんでしたが驚異的な効果は実証できたのです。
今では複数の大学でカラン・メソッドが採用されています。オンライン英会話でフィリピンの先生と勉強をすることによって単位を認定している学校もあるのです。
次はいよいよオンライン英会話がスタートです。