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第2章 フィリピン留学編

第20話 単気筒からV型二気筒エンジンへ

謎のエージェント・アッキー

8月のオープンからオンライン英会話で悪戦苦闘が続いていた2009年のクリスマスイブ、イタリア出張から帰って東京にいました。
フィリピン留学のエージェントをやっている友人のアッキーと自宅で飲んでいたのです。

アッキーと初めて会ったのは11年前のセブ・マクタン空港です。
フィリピン留学で東京とセブを行き来をしているときでした。留学中に出会った知り合いが私のスケジュールを見て
「あ、アッキーと同じ飛行機で戻ってくるだ、彼がセブを紹介してくれたんです。すっごく変わった人だから必ずわかりますよ」
彼女はグァテマラのスペイン語学校でアッキーと出会いその縁でセブに来たそうです。
「まって、変わった人だけの特徴じゃむりだよ。もう少し何かないの?」
「大丈夫、大丈夫、簡単にわかりますって」
どうしても空港で合わなければならないわけでもないので話はそのままでしたが、すぐにわかりました。
子供の様に屈託がなくニコニコしていて誰にでも、いいえ可愛い大学生を見つけては声をかけていました。
「え? 何しに来の語学留学? どこの学校? おっ、同じ学校じゃない、僕もそこへ行くんだ」
あんまりにも変な人だったので声をかけてみました。
「もしかしてアッキーさん?」
「あ、初めましてアッキーです」

初めてフィリピン留学を日本に紹介したのが彼でフリーの留学エージェントをしています。
もともとは会計事務所に勤めていたのですがオーナーが亡くなったのを転機に「やりたいことをやるか」と世界へ旅にでたそうです。
旅の途中、セブ島でたまたま隣の席で飲んでいたのが後に講師300人を抱えるアジア最大の英会話学校になる韓国人のオーナーだったのです。その時、意気投合してエージェントをやることになったと話していました。
「どうせ始めたばかりで生徒がいなくて部屋はたくさん余っている。寝る所が決まっていないのなら泊まっていけよ。そこからセブを観光すればいいじゃないか」
朝まで旅の話で盛り上がり酔った勢いで誘われたそうです。
一週間泊めてもらったお礼に一泊一宿の恩義ではありませんが、彼が日本でフィリピン留学を売り始めたのが日本で広まったきっかけなのです。
ネットに詳しかったので検索エンジンで「格安留学」、「フィリピン留学」、「セブ留学」でトップになり生徒が集まりだしました。
私が彼のページに気が付いてフィリピン留学に行ったのは彼がエージェントを初めて2年たった時だったのです。

アッキーの人生も海外に出る事によって変わりました。普段自分がいない場所に行くと新しい出会いがありその出会いの中に人生を変える「縁」があるのです。
私達日本人は海を渡ってきた民族です。本来はリスクをものともしない勇敢な民なのです。常に新しい「縁」を求めて開拓してきたのですから日本人は海外展開が得意なはずです。

勝手に秘蔵のワインを飲まれる

当時の私は東京の渋谷に住んでいました。六本木ヒルズとまではいかないまでもマンション最上階のルーフバルコニーがある夜景のきれいな部屋です。11年前フィリピン留学で経験した部屋とはだいぶ違います。広いリビングにある家具や食器にも拘っていて独身ライフを楽しんでいたのです。でもこう言うとウソになりますね。
クリスマスのイブだと言うのに男二人でワインを飲んでいるのです。あまり独身を楽しんでいるようには見えません。

「あ~~ アッキー何飲んでいるんだよ」
お店で開けると一本何万円もするワインを勝手に開けていました。
イタリアのバイクメーカーの社長からプレゼントされたビンテージのワインなんです。世界的に当たり年だった1997年の赤ワイン、ブルネロ・モンタルチーノでイタリアの日本大使館にも貯蔵されています。
まあ、一つ言えるのは男同士で飲むワインじゃないことは確かです。
そもそも、スーパーで買ってきたおつまみとワインで飲んでいたのですが、私の寝室に隠しておいたワインと生ハムを勝手に取り出していたのです。
「なんかこのワイン美味しくね?」
「ちょっと待ってよ、このワインいくらするか知っているの?」
「いいじゃないか、置いておいたって腐るだけだ」
「ワインは腐らないし。わかった、もう諦めたから、せめてワインが起きるまで待って美味しく飲もう」
「ワインって寝ているのか?」
今思ってももったいなかったと思います。
「あ~~ プロシュートをかじっている」
イタリアで買ってきた生ハムの塊に歯形がついていたのです。
「冷蔵庫に美味しそうな肉の塊があったからかじってみた。ダメだ、らいこう。硬すぎる。美味しくないね、これは」
「薄くスライスして食べるもんだ。パルマの上等品なのに」
ノリはフィリピン留学の学生です。

V型二気筒、片肺エンジン

乾燥した冬の夜、その日は良く晴れていたので新宿の夜景がきれいに見えています。少し酔ってきたのかアッキーが話し始めました。
「らいこう、セブ島で学校やんない?」
「え? なんで?」
「らいこうがやっているオンライン英会話は何かが違うぜ。頑張っているのは分かるけどどうも本物ではない気がする。らいこうはフィリピン留学に来て、その後オンライン英会話と混ぜて勉強したから話せるようになったんだろう。オンライン英会話だけだと半分なんじゃないの?」
私はその時初めて気づきました。今まで一生懸命「良いオンライン英会話を作ろう」とだけ考えていて自分が経験したオンライン英会話とフィリピン留学を融合させた、本当に話せるようになる学校をやっていなかったのです。
エンジンで言えば片肺状態でピストンが一つ動いていなかったのです。
コピーではないにせよフルパワーが出ていません。自分が経験した最高の英語勉強法は二気筒エンジンだったのです。
アッキーはオンライン英会話の生徒が集まらなくて苦労しているのを知っていたのです。クリスマスに帰ってくるのを聞いて尋ねてきてくれたのでした。

「俺達がいた学校のオーナーが先日代わったんだ。どうも仲間割れみたいだけど、世話になった先代のオーナーが辞めちゃったんだよ。もう売る理由がなくなったんだ」
しみじみと寂しそうに話した後、少し語気を強めて
「フィリピン留学なら任せてくれよ。俺がやれば毎月4~50人なら送れる。どうせ先生余っているんだろ」
返す言葉がありませんでした。
ブルネロ・モンタルチーノをぐいっと飲んで
「俺も手伝うから一緒にやろうよ。何とかなるって。」

正直かなり悩みました。生半可な準備でやれる話ではないのはすぐに想像できたのです。
フィリピン留学させると言うことは生徒の滞在に責任を取らねばなりません。そして学校を作るとなると教室はもちろん、寮や、食堂、洗濯、掃除などのすべての生活を考えなくてはならないのです。
誰かのやったものを参考に企画書を考えるとやれない理由ばかり思い浮かびます。その時は気づきませんでしたが韓国の学校の情報をもとに勝手に問題を提起して解決策を悩んでいたのです。
誰もやっていない学校を直感で感じ、失敗を恐れず「やればできる」と挑戦しなければならなかったのです。