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第2章 フィリピン留学編

第25話 これは外せない!バイク便のこだわり

ジプニーをフルオーダー


「らいこうさ、飛行場までフィリピン留学の生徒を迎えにいくバスがいるぞ」
セブの飛行場には公共交通機関が整備されていないので留学生を学校が迎えに行くしかないのです。そういえばアッキーとの出会いも学校が手配したバスを待っていた時でした。
「バスがいるけどバスじゃつまんないだろう、思い切ってジプニーでよくない?」
ジプニーとはトラックを改造したフィリピン独自の乗合バスで窓も、入り口のドアも、もちろんエアコンもない、乗りたいときにいつでも乗れて何時でも降りられる便利な乗り物です。当時は6ペソ、15円程の料金でフィリピン人の足でした。
フィリピン留学すると乗ってみたいのですが日本人にはお勧めできないフィリピンのシンボルです。
「安全に生徒が乗れるジプニーを探そう。ジプニーを経験せずにフィリピンはないもんな」
「アッキー、フィリピン留学に専用のを作ろうぜ」 
「え? 作るのか?」
「ジプニーの仕組みはそんな難しくないよ。どう見ても手作りだからビルダーがあるはずだ、探そうぜ」
フィリピンではホームページを持っていない小さな会社だらけなのでネット検索では探せません。
「タクシーの運転手に聞いてみようよ」
一日かけて聞きまわっていたら
「知っているよ。連れて行ってやるよ」
工場に連れて行ってもらったのです。
しかし想像していたジプニーはなかったのです。いわゆる昔風、アメリカのジープをまねたジプニーの原型を探していたのです。セブでは生産が終わっていて第二世代に入っていました。
「ダメだ、セブでは手に入らない。マニラなら新しいジープタイプのジプニー見たのにな」
「え、マニラならあるのか? アッキー直ぐにマニラに行くぞ」

マニラでジプニー・ビルダーを探す

行動だけは早いんです。さっそく事務所に帰り翌日のチケットを取りました。
まさかフィリピン留学でマニラまでくるとは思ってもいませんでした。
もちろんマニラで宛はないのでセブと同じようにタクシーの運転手に聞きながら探すしかありません。
三台目のタクシーが運よく
「前はジプニー運転手だったんだ。ビルダーならたくさん知っているぜ。案内してやるよ。5000ペソでどうか?」
「バカ言っているんじゃないよ。5000は高すぎだ。1500でも高いぐらいだ」
アッキーが運転手と駆け引きしています。
「降りよう、らいこう」
もちろん降りる気はありません。
「まてまて、4000は?」.
結局2500プラスガソリン代で手を打ってジプニー工場ツアーがはじまりました。最大手はオルモック社で空港の近くにあったのですがぜんぜんやる気なくスタッフにいくら言っても動かなかったのでパスしました。
次行こう。結局10件以上まわってジプニー工場が集まる村を発見したんです。
村に入って2件目でした。いかにも職人っぽい大将が作っている小さな工場を見つけたのです。弟子を4~5人使って自ら熱心に働いています。
何となくバイク屋ではないですが腕の良いメカニックは同じような雰囲気があるのでピントきました。この人なら大丈夫だ。はっきりした根拠はないのですが確信したのです。
機材はほとんどありません。手動のベンダーマシーンと溶接機が2~3台あるだけの駐車場のような工場です。しかし中はとてもきれいに整理されていて気持ちのいい空間でした。
人を判断するのに肩書や見た目で判断してはいけません。どのような環境にいるのか、どんなポリシーを持っているのかが重要なポイントです。フィリピン留学でお付き合いがある業者もそうですが、私は自ら行動していてきちっと整理された環境で仕事をしている人が好きなのです。

オールステンレス、フィリピンにたった一台

早速ジプニーの使用についてアイディアを出し合いました。大将もフィリピン留学で使うジプニーなんか作ったことがないので大盛り上がりです。
「とにかくエアコンはいる」
「じゃあ、入り口のドアと窓にガラスを入れなくてはならないな。鍵はかかった方がいいのか?」
「もちろんだ、フィリピン留学で生徒が襲われたら困る」
「内装はどうする。テレビはいるのか?」
「いいやそんなものはいらないよ」
「でもオーディオは付けるだろう? どうせ高くないよ」
フィリピン人はどうも音楽のプライオリティーは高いようで彼は音響に拘っていました。
「内装は青にしよう。イメージカラーだからね」
「外装はどうする? 何色?」
「色はいらないオールステンレスでぴかぴかのジプニーを作りたい」
「いいね。知っているか? マニラ市内はオールステンレスのジプニーは禁止なんだ。眩しいからね。だから誰も持ってないぞ。クールだ」
「よし、オールスステンレスで行こう」

話はどんどん進みます。サイズもすべてオーダー通り作ってくれるのです。
「天井はもう少し高くできないのか?」
「大丈夫だ。何インチあげる?」
「そうだな、これくらい、4インチ頼むよ」
「長さはどうする?何人乗り?」
長さも自由です。大型は片側11人で24人乗りなのですが大きいと取り回しがむずかしいので
「よし、片側7人、16人乗りで作ってくれ」
「じゃあ長さは6.5メートルだな。エンジンはどこにする?一番いいのはいすゞだ」
「新品を仕入れるのか?」
「そんな訳があるわけないだろう。中古を日本から運んでくるんだよ」
「え、これからか輸入するのか?」
「大丈夫だ、そういうショップがあるから明日、俺が見てくるよ。一緒にくるか?」
今回はフィリピン留学の立ち上げでスケジュールがタイトで行きませんでしたが見たかったです。
「エアコンだよな。そうするとエアコン用のコンプレッサーがついているのがいるな。そうすると少し高いぞ」
「値段も問題だがそもそも大将はエアコン付のジプニー作ったことあるのか?」
「ははは、あるわけないだろう。マニラだってそんなジプニー走っていないんだから。セブではエアコンが当たり前なのか?」
「そんなわけないだろう。おいおい、大丈夫か?」
「まかせておけ。エニシング イズ ポッシブルだ」
本来ならフィリピン人のANYTHING IS POSSIBLは一番危険です。何も考えずに「できる、できる」と答えてしまい、最後になって「できません」なんて話はオンライ英会話を立ち上げる時に何度も聞きました。

信用を得ると言う事はとても難しいです。大将は職人としての腕に裏付けされた細かい言動によってANYTHING IS POSSIBLを信用させたのです。私は世界中にエンジニアと呼ばれる職人の友人がいます。なにせ本業はバイク便です。一流を見抜く自信だけはあるのです。この時「間違いなく良いジプニーを作ってくれる」確信したのでした。
3ヶ月たって引き取りに行ったときの感動は忘れられません。ピカピカのオールステンレス。セブはおろかマニラにもこんなカッコいいジプニーはありません。
学校の品質にはまったく関係ないのですがバイク便が作るフィリピン留学です。少しピントがずれていますがこだわりました。世界に一台しかないエアコン付オールステンレスの特注ジプニーです。

まだまだやったことがない準備が続きます。