何としても寮がいる | QQ English創業物語 | オンライン英会話ならQQEnglish

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第2章 フィリピン留学編

第26話 何としても寮がいる

シャアハウスで行こう

400平米ですが既にフィリピン留学用にデモの生徒を受け入れていたので寮が必要でした。インテリジェントビルにフィリピン留学を作るのは前例がなく苦労しました。オンライン英会話のブースと違い学校内に宿泊設備を作ることがITパークの規則でできないのです。
外に留学の宿泊先を探さなくてはなりません。近くにホテルはたくさんあるのですがそこに宿泊してもらうと留学費用が高くなりすぎて競争できません。
フィリピンには日本のような不動産屋さんがないので直接自分で探すしかないのです。アルも色々探してくるのですが中々ITパークから近くて日本人が住める環境に物件がありませんでした。
欧米の留学だとホームステイやアパートを借りて学校に通うのでしょうがフィリピン留学にホームステイはあり得ません。ミアの家程ではないにせよ、湯が出ないのは当たり前で個室が少なくトイレや水回りはまるで違います。
結局ITパークの周りを歩き回って部屋を探すしかありませんでした。電柱に「部屋を貸します」と書いてあるのを見つけると片っ端から電話したのです。
寮にできて外人が住めるレベルの建物、ついにビレッジを発見したのです。ITパークのオフィスから歩いて5分。少し古いですが、24時間ガードもいてセキュリティーも安心なビレッジでした。
しかし、その徒歩が問題でした。5分と近いのですが道が舗装されていなかったのです。環境もITパークを一歩出るとそこはフィリピンの貧しい現実があります。小さな古い家とローカルの屋台がならんでいます。雨が降ったらびしょびしょで歩くのも困難になってしまう場所なのです。
「なんでITパークに隣接しているのにこんなに環境が悪いんだ?」
アルが
「ここのエリアのバランガイキャプテン(地域の組長さん)が市長と喧嘩していて予算を付けてもらえないって大家さんが言っていた」
「え? 喧嘩で予算がおりない、おいおい、そんな理由なのかよ」
「でも大丈夫。去年市長が変わったからそのうち良くなるよ」
「そのうちっていつだよ?」(因みに4年前きれいに舗装されました)
どう言われてもここしかチョイスがないので決めるしかありません。今ではフィリピン留学用に30棟使っているのですが初めは3棟借りたのです。
フィリピンのAクラスの方が住むエリアなのですが日本人には手直しをしないと住めません。もちろんお湯はでませんし、トイレの便座もなくエアコンもないと言った感じです。
内装工事をやるしかありません。すべて3LDKです。
アッキーが
「どうせならバスタブを付けよう。お湯は湯沸かし器ではなくセントラル方式で」
未だにオンライン英会話の事務所のソファーで寝ていてトイレのモップ洗い場で水浴びをしていたアッキーは凄く積極的でした。
「シェアハウス形式にすれば個室を作れるし、生徒が集まる場所もできるのでフィリピン留学には良いんじゃないか?」
「韓国の学校の寮みたいにしたら面白くないよ。キッチンとかは残して部屋を増やそう。トイレも、シャワーも作り直しだ」
リビングを改造して2部屋増やし4つの一人部屋と一つの大きな4人部屋を作ります。
アルの知り合いの建築屋さんを何人か呼んで相見積をとり一番安くやる業者に頼んだのです。
まあ日本では当たり前の行動なのですがフィリピンでは絶対にやってはいけない方法でした。

フィリピンで内装工事をやってみる

日本人で初めて挑戦するフィリピン留学は何もかも手探りでした。
「何日かかるんですか?」
建築業者に尋ねると即座に答えが返ってきました。
「一か月もかからないよ。直ぐにできる」
「おっ、頼もしい」と思ったのはその時だけでした。
始めに半金を払い、最後の部材を買う時に残りの25%、完成後に残りの全額が約束だったのです。
翌日から解体工事が始まったのですが解体が終わった後、一行にその先に進まないのです。現場のマネージャーに言うと
「お金がないから資材が買えない」
なのです。
「途中で払う25%を今くれないか?」
そしたら直ぐに工事ができると言うのです。既に一か月たって壁や水回りが外された状態で何も進んでいないので払ってしまったのです。
大間違いでした。翌日から工事が再開すると思ったら前と変わらず職人がうろうろしながら仕事もせずに寝ています。
フィリピン留学の事務所にいたアルを呼んで業者と話を始めました。
「どうして始めないんだ」
「材料がない」
「え、昨日お金を払っただろう?」
「それはマネージャーがもって行った」
「あ、そういえば現場のマネージャーがいない。どこに行ったんだ。連絡が付くか? アル直ぐに電話してくれ」
「らいこうマネージャーはネグロスにいるようだ。違う島にいるよ。家族が大病をしたので地元に帰ったんだって。でも来週から工事を始めるって言っている」
「なんだって? 本当なのか?」
「そう言っているし、どうしようもないよ。待つしかない」
「アル、君が探してきた業者だろう? 何とかならないのか? そもそもマネージャーじゃなくて請け負った責任者はどうしたんだよ」
「今、知り合いに聞いているけど来週まで待つしかないよ」
案の定、翌週になっても工事は始まらず、職人は相変わらずぶらぶらしています。
「ボスはいつ帰ってくるんだ」
「わからない。私達もお金を払ってもらっていないので困っている。お金を払ってくれないか?」
「ちょっと待ってよ。君たちの会社に既に75%も払って工事は解体しか終わっていないだろう。何も進んでいないじゃないか?」
「それは知らない。僕たちは材料がないから作業ができないんだ」
その後いくらアルに連絡させても帰ってくる様子がないので
「だめだアル、業者を代えよう」
「僕が良い業者を知っている」
「おいおい、この業者もアルの紹介じゃないのか良い業者がいるなら初めから良い業者を紹介しろよ」
「安い業者を選んだからいけないんだ」
返す言葉がありませんでした。

想定外がどんどん続く

フィリピン留学の工事で学んだのですがフィリピンで建築をするにはコツがあります。業者に見積もりは材料費を抜きで頼み、必要な材料はその都度自分たちで買って来るのが正解です。工事中は現場監督を別に自分で雇い監督の監督をさせなくてはなりません。直ぐに癒着するので長期にわたる工事であれば2か月起きに雇った現場監督も交換させるのが理想です。

次の業者でも想定外のトラブルが続きました。キッチンの位置の変更をした時です。
水道の蛇口を混合水栓に変えて新たな場所に取り付けてもらったのです。わざわざ印までつけて具体的に指示をしました。しかしいくら蛇口を捻っても水がでません。調べてみたらびっくりしました。指示通りの壁に穴をあけ蛇口を差し込んだのですが、水道管をつないでいなかったのです。水が出るわけがありません。
もちろんそれで終わりません。水道管も繋ぐように指示をしてちゃんと水がでたら大洪水です。シンクの下から大量の水が流れだし、排水管を繋ぐ指示を出していないことに気が付かされたのです。
バスタブを交換したら栓がなくて水が溜まらないですし、壁は斜めになり、ドアノブは逆さについていました。結局アルの下に直接ワーカーを雇って自分たちで作っていくしかなかったのです。

韓国系フィリピン留学の学校は職人も、材料も韓国から持って来て工事をしています。電気屋さんも、配管工も、大工さんもすべて韓国人がフィリピンで工事をするのです。なんでそんなコストがかかることをするのか疑問でしたが彼らは経験で知っていたのでしょう。
私は少しでもフィリピンに雇用を作りたいと思っているので日本から職人を連れて来る事はやりたくありません。フィリピン人なら10人雇うところを日本の職人さん一人でできるのなら十分ペイします。しかし腹をくくって直接雇い育てていく事にしました。バイク便でやっていた方法と一緒です。人情で接していけばいつかは良い職人になってもらえると信じているからです。

次からは許認可や新人のトレーニングのお話です。もちろんどれも上手く行きません。