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第2章 フィリピン留学編

第36話 895ヘクトパスカル「台風HAIYAN」

観測史上世界最大、巨大台風

地震の後も試練は続きました。一か月も経たない2013年11月7日でした。観測史上最大の台風がセブに近づいていたのです。
895ヘクトパスカル最大瞬間風速105メートル。日本で台風ニュースを見てもて900ヘクトパスカルを切る台風は聞いたことがありませんし風速も25メートルが暴風域なので風速105メートルは桁外れです。台風30号ハイエン、フィリピン名ヨランダが接近してきたのです。
「最大限の注意と準備をするように」と繰り返しニュースが流れているのですがあまりに大きくどう対策をとればいいのか途方にくれていました。校内にはフィリピン留学の生徒さんもいるのでより切羽詰っていたのです。
最大瞬間風速105メートルは時速に直すと400キロ以上です。バイクでも時速200キロを超えるとヘルメットのシールドを開けると息ができません。400キロはリニアモターカーから顔をだす感じなのでしょう。
円安で泣かされ、地震でハチにさされ、最後はクマに襲われて心境です。
正直腹をくくるしかなかったです。直撃してもITパークにある校舎は残るかもしれないがセブ市は壊滅的な被害がでる。ITパークだけ残っても町として機能しませんから倒産すると思いました。
「みんなを呼んでくれ、すぐに対策をとらないとダメだ」すぐに元祖スーパーティーチャーが集まってきました。
「とにかく台風に備えなくてはならない。1週間生き延びれば国際援助が必ず来る。1週間生活ができる準備をしよう」
ノリーンが
「らいこう何を準備すればいいの? こんなのは経験がないわ」
「ノリーン、先ず大工チームを呼びなさい。すぐに寮の窓ガラスの補強をするように」
「先生の家族の非難も受け入れる。ヘルガ、ビルのマネージメントに許可を取りなさい」
「ゲイル何人避難してくるか確認して。海沿や川沿いに住んでいる先生の家族は必ず避難してくるように言いなさい」
「ミア、フィリピン留学の生徒は何人いるんだ? 生徒には直接僕から話をするから。授業が終わったら全員集めるように」
「ドーリー、カフェチームを集めてシフトを組んで。先生の家族と留学生を学校に避難させるから食事が出せるように」
「ゼット、最低でも一日1000食で一週間の水と食料を準備させて」
「デザリーはビルのオーナーに自家発電機用のガソリンを準備するように話して」
フィリピン留学の生徒はもとより先生と家族が避難しに来ても1週間は生き延びる。飲み水は4ガロンを150ボトル、食料は1000食を1週間分。ビルのオーナーに言って自家発電用ガソリンを6000ガロン備蓄してもらい備えていました。

台風ハイエンついに上陸

台風が上陸する予定時間は翌朝の8時だったのでフィリピン留学の生徒は朝5時から学校に来てもらい、先生の家族で海沿い、川沿い、貧しい家庭の先生を中心に避難させました。
前の晩から先生の家族の避難が始まっていたので朝には300人ぐらいが学校に来ています。
すでにセブ中が停電で自家発電機の音が静かに響いていて、いつもはフィリピン留学の学生がにぎやかにしているカフェもラウンジも自家発電機の音以外静まり返っています。
ITパークはネットが繋がっていたので情報が入って来ました。
オンライン英会話の生徒からも現地にいるフィリピン留学の生徒からもたくさん質問が来ています。
「何時ごろ上陸でどの程度の被害が予想されているのか?」
「非難は何日続くのか?」
「風速100メートルにビルのガラスは耐えられるのか?」
家族から連絡を受けているのでしょう。地震に対するビルの基準は調べてあるのですが台風に対してはさっぱりわかりませんでした。
ビルのオーナーに確認していたのですがフィリピンの最高級規格で作ってある。ガラスも高層ビルで使う最新の物使って入っているので大丈夫だと言っています。しかしそれが今回の台風に当てはまるのかは来てみないと分かりません。895ヘクトパスカルは誰も経験したことがない台風なのです。
「今、日本とアメリカのニュースを追っていて台風が8時ごろ上陸予定です。勢力は依然猛烈な強さで変わっていません。ビルの窓から離れて最大限の注意をしていてください」
大人のただならぬ雰囲気をさっしてか子供たちもおとなしく黙っています。

ついに8時になりました。風が強くなってきてビルが小刻みに揺れています。しかし日本で経験するレベルなのです。すぐにネットのニュースを確認しました。
どうも北に50キロ程ずれて通過中です。大きな台風ですが大丈夫そうだ。生き延びると確信しました。

何とか生き延びた、直ぐに募金を集めろ

台風がピークになる昼前にNHKから取材が入りました。8階の校舎の窓から見える状況を説明しながら、セブ島留中の学生について話をしました。
外は凄まじい風と雨ですがビルはびくともしていません。市内の停電は続いていますが校内は発電機により普通に電気がついています。
生徒も、先生の家族も少し落ち着いてきたのかゲームが始まったり、ラウンジで映画大会が始まったりしました。普段いない先生の子供達も加わって、穏やかな雰囲気が流れてきました。その後少しずつ弱まり、夕方には雨もやみ先生の家族は家に片づけに帰える事ができたのです。寮の停電と断水は続いたのですがその後復旧して生徒も寮で寝ることができたのでした。
夜には日本大使館からもフィリピン留学の生徒の安否確認があり全生徒無事と答えられてほっとしました。

幸いセブ島は被害が少なく済みました。しかし、セブの北に位置するレイテ島のタクロバン市が大変なことになっているとの情報が入ってきたのです。
セブは単に運が良かっただけで台風が小さくなったわけではありません。895ヘクトパスカル、観測史上最大のスーパー台風がレイテ島を直撃したのでした。
台風が通過した直後は情報がすくなかったのですがその後被害の状況が続々と入ってきました。

一度は倒産すら覚悟したスーパー台風なのでもらった命だと思っています。生き残った私達が何かしなくてはと強烈に思ったのです。
「先ずは募金を集めよう」すぐに義捐金の募集を始めました。フィリピン留学の生徒だけでなく、私達のオンライン英会話の会員は一万人以上いるので凄い反響でした。直ぐに200万円、月末には400万円以上義捐金が集まったのです。

先生の家族で被害にあった者も大勢いるのでそちらも助けなくてはなりません。頂いた義捐金はレイテに使い学校内で募った募金は先生の家族に使う、2つのプロジェクトが動いていたのです。