ゼロ泊3日の強行軍 | QQ English創業物語 | オンライン英会話ならQQEnglish

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第2章 フィリピン留学編

第38話 ゼロ泊3日の強行軍

レイテ島でのボランティア

フィリピン留学はまだ混乱していましたが待っていられません。私達は台風が去って3週間たった11月最後の週末からボランティア活動を開始しました。
物資を配るだけの活動なら簡単なのですが今回は被災地の人と一緒に汗を流しながら活動しなければなりません。
先ずは牧師さんが希望していた炊き出しから始めました。フィリピンのヌードルに温かいライス、そしてフライドチキンです。1000食分準備していたので鳥肉だけでも100キロありました。我々がボランティアで入るまで温かいご飯を食べていなかったのでとても喜んでくれたのです。

4回目の2013年12月最後のボランティアはクリスマスのプレゼントを考えていました。
一週間前から準備を進めていたプロジェクトです。フィリピン留学の生徒用にマイクロバスがあるのでプレゼントを満載に積みこみました。

レイテ島のタクロバンでボランティアをするのは大変です。なんとゼロ泊3日の強行軍になるのです。陸続きなら良いのですがセブの港から船で州都があるタクロバンと反対側の港に向かいます。夜の9時に出航して7時間かかり早朝4時ごろ港に到着するのです。夜は危険なので港で日が昇る6時ごろまで待ってタクロバンに出発です。タクロバンまでの距離は100キロ程なのですが道が被災しているので3時間くらいかかります。もちろんホテルどころか水も電気もないので滞在はできません。夕方暗くなるまでに撤収しなくてはならないのです。また3時間ドライブして港につき夜10時の船でセブに戻るのです。土曜日の夜にセブをでると月曜日の早朝5時ごろセブに戻ってこられるので、先生もボランティアをしたフィリピン留学の生徒もそのまま学校に戻り授業です。金曜日出発だと授業が終わって直ぐに港に向かい日曜日の早朝セブに戻ることになります。

クリスマスのボランティアは金曜の出発でした。
今回は食料1000食分、子供用に350のプレゼント、家族用に500セットプレゼントを準備していたのです。
子供用は文房具でノートや筆記用具です。家族用は蚊よけの蚊帳とブランケット、洗剤や歯ブラシなど生活必出品です。

オーバーブッキングで船に乗せてもらえない

「ドーリーどうしよう船に乗せてもらえない」
先に港に向かったドライバーからフィリピン留学の事務所に連絡が入いったのです。
「え? なんだって?」
クリスマスプレゼント満載の車が船に乗れないでは済まされません。理由を聞くと船がオーバーブッキングなのです。今回はクリスマスが近いのでセブからの車で混んでいるのです。
セブ港はピア6まであって船が後ろ向きに何艘も停まっています。カーフェリーだけでなく貨物船も高速艇も入り乱れていて素人の私にはどんなルールで動いているのかさっぱりわかりません。今夜は特にトラックだけでなく人も車も多かったです。
もちろんドーリーにとってオーバーブッキングは想定内だったので1週間前から予約し、更に心配なので船のオーナーにまで確約を取りに行っていたのです。
「何言っているのよ、乗せてもらえないでは済まされないわ。オーナーにも話してあるんだから、その辺りに責任者はいないの?」
ドーリーはダメと言われて「はいそうですか」と引き下がる玉ではありません。
「すぐに行くわ。ちょっと待ってなさい。絶対に了解してはダメよ。引き下がっちゃだめだからね」オンライン英会話の授業が終わってすっ飛んで行きました。
そこから3時間大騒ぎになりました。船の出航予定は9時なのですが10時になってもドーリーは他の車を積ませません。先に積み込まれてしまったら後から入れてもらえないので必死です。そこにフィリピン留学で教えていたゼットと他の先生が合流して騒ぎ出したからもう大変でした。
このメンバーで攻めよられたら私でも目まいがするのですから初めて対応する運搬責任者では太刀打ちできません。指を耳に突っ込んで苦しそうにしています。首を横に振ってもすぐに誰かが回り込んで説得しているのです。別の先生はI wish a Christmasと歌い出すはでめちゃくちゃでした。3時間がんばったところでびっくりすることが起こったのです。
ドーリーとゼットがいきなり泣き出したのです。断っておきますが私の学校のスーパーバイザーに決して泣くタイプはいません。しかし三時間を過ぎてついに勝負をかけたのでした。ドーリーとゼットに触発されたのか他の先生もつられて泣き出してついに勝負がついたのです。
ドーリーとゼットの大勝利です。最後はまさか泣き落とすとは思いませんでした。
後で聞いたらワイロを貰った船員が勝手にチケットを転売して私達のスペースがなくなっていたのです。
「も~、むかついたから最後の手を使ったわ。乗れてしまえばこっちの物よ」ドーリーとゼットが誇らしそうでした。

何とか先生とフィリピン留学の生徒、そしてスタッフを積んだバスと車が乗り込みました。