よく使う「~したことがある」の英語での表現と使い分け
自分の体験記憶を人に話す時によく使うのが「~したことがある」という表現です。
「北海道でスキーをしたことがある」「イタリア語で話しかけられたことがある」「酷い干ばつに遭遇したことがある」などがその例ですが、よく考えると同じ「~したことがある」でもそれぞれの背景にある状況や心理がだいぶ異なることに気付くはずです。
状況を分析すれば、日常生活の延長線上だったり、珍しい新鮮な体験だったり、滅多に体験することがない大事件だったとか、心理的には「普段どおりだった」「戸惑った」「苦労の連続だった」という具合です。
実は、英語でこれらのことを言う場合は、その心理に基づいて表現を使い分ける必要があります。方法は幾つかあるのですが、ここでは代表的な2種類の表現について説明します。
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こんなことしたことあります!英語での「~したことがあります」の表現は
「北海道でスキーをしたことがあります」や「ピアノを演奏したことがあります」のように、何の変哲もない「~したことがある」を英語で表現する場合に使われるのが現在完了形です。
「have+過去分詞」の形をとり、冒頭の例文ならば”I’ve skied in Hokkaido, I’ve played the piano.”と訳せます。
時制を意識し過ぎると釈然としないものを感じがちですが、”have”には物以外に経験を所有するという概念があるため、英語の文化で考えればとても自然な表現なのです。
組み合わせる過去分詞にbe動詞を使えば、”I’ve been to Boston.”(ボストンに存在したことがある。)とすることで、滞在経験アリを表すことができます。
また、それがかつての習慣だったと言いたい場合は、”I used to study life sciences.”(昔は生命科学を研究していた。)や”She used to be a great athlete.”(かつて彼女は偉大なアスリートだった。)のように”used to”を使います。
よく間違える「~した経験がある」の表現
一方、非日常的な事件や事故に対して使うのが、「経験」や「経験する」を意味する”experience”です。
この単語を用いることによって、その出来事が話者から見ればわざわざ「~した経験がある」と訳すべき背景を抱えることが伝えられるようになります。
例えば、「イタリア語で話しかけられるのが人生上、全くの想定外で貴重な経験」だと感じたならば、”I have an experience of being spoken in Italian.”と表現します。
大干ばつも大抵の人にとっては非常事態ですから、”We experienced an extraordinary dry spell.”のような言い回しが可能です。
2つを使い分けるポイントは?
2つの表現の使い分けを把握するのは意外に簡単です。
“experience”は”perience”に”ex”が付いた形です。
この時重要なのは接頭語の”ex”です。
これは”explore”や”extend”や”expect”から類推できるとおり、外に向かう意味合いを持ちます。
外とは、「日常生活の外」です。 つまり、相手が総理大臣だろうと大統領だろうと、会話が成立する人との面会はソサイエティ内部の出来事なので”experience”は使いません。
これに対して、アマゾンの奥地で20世紀後半に発見された少数部族に出会うことは非日常的な事件なので”experience”を使います。
原理的には2つの間には境界があるのですが、判断はそれぞれの主観によるため絶対的な境界線は存在しません。
ただし、何かを得るための努力を伴う体験は総じて”experience”に含む傾向が見られます。
求人情報によく見られる”The position requires at least five years’ experience in….”はこの流れを汲む表現です。
自分の体験を話す場合、特筆に価しないものならば現在完了形を使います。
判断基準は、心理的には多少の感動があっても自分の殻を破ったとまでは言えない状態です。
結果的にネガティブな体験と極端にポジティブな体験はともに対象外となります。
また、努力の末に何かを手に入れるような体験も現在完了形で表現しきることは不可能です。
まとめ
それら対象外の体験を「~した経験がある」と表現し直せば、こちらのグループは「経験」を意味する”experience”を使うのが適切です。
注意点は現在完了形と正反対。ポジティブなことを軽く言うためには使わないので、例えば”I experienced learning English.”など言うと、皮肉たっぷりの冗談にとられますから注意してくださいね。