had doneとhad been doingの意味、違い、英会話での使い方とは?
皆さんは学校で「過去完了形」や「過去完了進行形」という文法を勉強したことがあると思いますが、その意味や違いを明確に説明することはできますか。
「過去完了形と過去形の違いは何だろう」や、「過去完了進行形ってどんな場面で使うのかな?」など、うまく説明できない部分や、はっきりと意味を理解していない部分もあるかと思います。
そこで今回は、この過去完了形(had done)と、過去完了進行形(had been doing)の違いを少しだけ掘り下げて、理解を深めていきたいと思います。
それではさっそく見てみましょう。
had doneとは
では、had doneとはいったいどういう意味なのでしょうか。それは「過去のある時点でその時点よりも前に起こった出来事や経験を持っていた」という「過去からさらに遡る」表現ができる文法です。
実際に例文を見てみましょう。
(私が空港に着いた時には、彼はすでにヨーロッパに向けて出発していた。)
さて、この例文から「過去のある時点からさらに遡っている。」という感覚がつかめるでしょうか。
まず最初にでてくる(When I arrived at the airport)が「過去のある時点」の部分で、後ろに出てくる(he had already left for Europe.)の部分が「遡っている」部分にあたります。
つまり、「私が空港に着いた」時点で、「彼が既に出発した」という出来事を持っていたという気持ちですね。
もう一つ、had doneの形を使う時は、「過去のある時点」に焦点があることに気を付けましょう。
この「過去のある時点」がなければ、単に過去形や現在完了形を使った方が良いです。
その違いを次は、have doneとの違いを見ながらもう少し詳しく見ていきましょう。
25歳のある人がこう話しているとします。
(カナダに三回行ったことがあるよ。)
I had been to Canada twice by the time I was 20 years old.
(二十歳になるまでに二回カナダに行ったことがあるよ。)
さて、どうでしょうか。
①の文は現在完了形(have done)で、現時点でのカナダへの渡航歴についてお話していますね。カナダへ三回行ったという経験を「持っている」という表現をしています。
それに対して②の文は、過去完了形(had done)で、話者が二十歳だった時点までのカナダの渡航歴をお話していますね。
25歳の話者が二十歳だった時点から、さらに過去へと遡っての経験について述べているのが分かるかと思います。
つまり、現在完了形(have done)は、「過去に起こった出来事や経験を(今)持っている」という表現で、今回皆さんが学習している過去完了形(had done)は、時間、視点を過去のある時点に置いて、「その時点よりもさらに過去で起こった出来事や経験を持っていた」という表現をしています。
have doneの視点は「現在」、had doneの視点は「過去の時点」です。
had doneを使う時は過去からさらに「遡る」というイメージを持って使うといいでしょう。
had been doingとは
さて、ここまでhad doneについて掘り下げてみましたが、ここからは今回のもう片方のhad been doingについて学んでみましょう。
had been doingは「過去完了進行形」と言われたりします。名前の通り、過去完了と進行形が合わさった形となっています。
では、このhad been doingはいったいどのような意味を持っているのかと言うと、「過去のある時点からそれよりも前に遡って、ある出来事、行動をし続けていた」という意味合いになります。
ここでポイントになるのは、「し続けていた」という動きが伝わってくる感覚です。進行形が持つ「動き」がここでも現れてきます。
それでは例文を見てみましょう。
(友達の家に行ったんだ。その友達、私が着いたときには何時間もピアノを練習していたんだって。)
さあどうでしょうか。
「私が友達の家に行った(到着した)」のが「過去のある時点」で、「友達がピアノを何時間も練習していた」というのが、到着した時から時間を遡って伝えている部分ですね。
先ほどポイントに挙げた「し続けていた」や「動き」という部分が、この「ピアノを練習し続けていた」という部分になります。「ピアノを練習していた」という「動きの連続」が感じ取れますね。
つまり、had been doingは、had done(過去完了)が持つ「時間を遡る感覚」と、was doing(過去進行形)が持つ「過去のある時点での連続した動き」の両方を併せた表現ができるのです。
ここまでhad been doingについて勉強してきましたが、一部の動詞はこの形に適さない場合があります。
その動詞のことを「状態動詞」という風に呼称したりしますが、要するに「状態」を表す動詞のことです。それではいくつか例を挙げてみましょう。
・know(知っている)
・need(必要とする)
・remember(覚えている)
・want(欲する)
・believe(信じる)
このような単語が状態動詞と言われている動詞です。
すべて「動作」ではなく「状態」を表しているのが分かると思います。had been doingの形でこれらの動詞があまり使われない理由は、had been doingが持つ「連続した動き」を表すところにあります。
「状態動詞」は先ほども述べたように「動作」ではなく「状態」を表すので、この「連続した動き」に当てはまりにくいのであまり使われないのです。
ですので、had been doingだけでなく、状態動詞はam/is/are doingや、was/were doing とも同様の理由で相性がよくありません。
状態動詞は他にもあるので、ぜひ調べて覚えておきましょう。
had doneとhad been doingの違い
さて、ここまでhad doneとhad been doingそれぞれの伝えたい気持ちを学習してきましたが、ここでしっかりと違いを学んでみましょう。
それでは、先ほどhad been doingのところで取り上げた例文を、同じ内容でhad doneと並べて比較してみましょう。
(友達の家に行ったんだ。その友達、私が着いたときには何時間もピアノを練習してたんだって。)
I went to my friend’s house. He had been practicing the piano for hours when I arrived.
(友達の家に行ったんだ。その友達、私が着いたときには何時間もピアノを練習していたんだって。)
さて、この二つの文をみて感覚の違いが分かればもうhad doneとhad been doingの違いをマスターしています。
①も②の文も「家に着いた時」が過去のある時点で、そこから遡って「友達がピアノを練習していた」という風に述べているのが分かります。
では、①の文にはなくて②の文にある感覚は何でしょうか。
それは「連続した動き」という感覚ですね。②の文には、「彼は、私が(到着したその時まで)ピアノの練習をしていた」という「連続した動き」の感覚が良く伝わってきます。
①の文を聞いたときは、「友達は到着した時にはもうピアノの練習を終えていたのかな?」という風景が描かれ、②の文を聞いたときには、「友達は到着した時でもピアノを弾いていたのかな?」という風景が描かれています。
どちらも「過去のある時点から遡る」という感覚は同じですが、そこに「動き」が加わるのがhad been doingということを覚えておきましょう。
まとめ
had doneとhad been doingの違いはどうだったでしょうか。
どちらもhad+過去分詞という形を使っているので、「遡る」というイメージは共通して持っています。
そこに、had been doingはbe+~ingの「進行形」、「動き」のイメージが加えられるので、両者に違いが出てきます。
had doneは「過去のある時点から遡る」、had been doingは「過去のある時点から遡って動きのある出来事」です。
この二つの文法は、過去の情景描写に使うことができるので、自分の思い出話などを使って練習してみるのもいいかもしれませんね。