韓国の英語教育!なぜ韓国人は英語ができる?
日本の隣国である韓国の英語教育は進化・改革を遂げており、韓国人の英語力は、アジアの中でもトップレベルです。
なぜ韓国では英語教育が発展し続けており、韓国人の英語能力は高いのでしょうか。
今回は、そんな韓国の英語教育や韓国人の英語力が向上した背景について、日本人の英語力や日本の英語教育と比較をしながら、詳しく解説していきたいと思います。
1. 韓国人の英語力について
まず、韓国人はどれくらいの英語力を持っているのか、見ていきましょう。
2023年6月にETS(TOEICの開発機関)が実施した調査によると、韓国人のTOEICの平均スコアは675点でした。同調査では、日本人の平均スコアは561点なので、日本と韓国では100点以上の差が開いていることが分かります。
また、世界的に英語教育を拡大しているEF English社の調査によると、韓国は111カ国中、49位で「Moderate Proficiency」(中程度の能力)と評価されました。
なお、同調査における日本の順位は87位で、「Low proficiency」(低い能力)と評価されています。
これらの調査のように、韓国人の英語能力は高く、日本人と比較しても、英語を使いこなせている人が多いということが分かります。
2. 韓国における英語教育
それでは、なぜ韓国人の英語力は高いのでしょうか。
その要因は韓国における英語教育に隠されています。続いては、韓国の英語教育の歴史や韓国人の英語能力が向上した背景について、解説していきたいと思います。
(1)英語学習の早期化
韓国では、1997年から、小学校3年生以降の生徒を対象に、英語が必修科目として教えられています。小学3年生では週2時間、6年生では週3時間、英語の授業が行われており、韓国の小学生が英語を学ぶ時間は日本の小学生よりも130時間長いことが分かっています。
1997年に英語が小学校で必修化された際には、英語の授業内容にも変化があり、それまでは文法中心の学習だったものから、ライティングやスピーキングを重視した、より実践的な教授方法に変更されました。
日本では、2020年に小学校3年生以降の英語教育が義務化されたので、韓国では20年以上も前に、英語教育に着手していたと言えます。
また韓国では、さらに英語教育を早期化し、小学校1年生や幼稚園からの英語教育開始を求める声が高まっています。
有名大学への進学や、一流企業への就職のために、英語学習の開始時期を早期化したいと考える保護者が増えているのです。
(2)企業のグローバル化
韓国人の英語力が向上した背景には企業のグローバル化、海外進出が関係しています。
先述のアジア通貨危機で韓国の通貨ウォンが暴落したことに加え、韓国では少子高齢化とともに人口減少が進んでいます。そのため、韓国国内における内需ではなく、海外に目を向ける企業が増えました。
そのような「国際的企業」は海外での活躍が期待されるグローバル人材の獲得を目指しています。例えば、韓国の中でもトップレベルの経済力を持つ財閥企業であるサムスンやLGですが、これらの企業に入るためには、TOEICで900点のスコアを取る必要があると言われています。
TOEIC900点を獲得すれば、有名企業に入れるという保証はないですが、書類選考で「落とされない」ためには、なるべく高いスコアを取ることが、韓国ではとても重要です。
なお、海外に進出している日系企業のメーカーや総合商社などは、TOEIC730点を条件としているため、日系企業で求められている英語力は相対的に低いことが分かります。
(3)課外学習
韓国では、学校の授業の他に「課外学習」として、英語を学んでいる子供が多いです。
韓国は、いわゆる「超学歴社会」で、高校入試や大学進学には英語の能力が必要です。そのため、塾などの習い事に通う子供が多いですが、その中でも英語塾で英語学習に励む子供がとても多いです。
英語塾では、ネイティブスピーカーによるレッスンが行われるため、発音矯正ができたり、現地の実践的な英語を学習することができます。
また、韓国には、中学生や高校生の頃から、短期・長期の海外留学に行く子供やインターナショナルスクールに通う子供もいるため、やはり英語教育に注力していることが分かります。
実際に、母親が子供に随行して現地滞在する「親子留学」が流行していたり、子供が単身で海外の学校で英語を学びに行くケースもあります。
特に、韓国人にとっては、フィリピンへの留学が人気で、フィリピンに数百校ある語学学校のうち95%以上が、韓国人によって経営されていると言われています。
(4)アウトプットを重視
前述したように、韓国の英語の授業は、ライティングやスピーキングといったアウトプットを重視した内容になっています。
また、授業中には、英語を使ったプレゼンテーションやディベートも行われるため、多くの韓国人は英語を話すことに抵抗感がなく、自信を持って発言をすることができます。
英会話においては、ミスを気にすることなく学習を進めることが大事ですので、恥じらいを持つのではなく、自信を持って学習する韓国人は、効果的な英語学習に取り組めていると言えます。
また、最近の韓国における英語の授業では、オンラインで外国人と交流するカリキュラムもあり、学んだ英語を使ってコミュニケーションできる喜びを感じながら学習に励むことができます。
授業で学んだ英語を実際の会話で使う機会があると、学んだ英語が「学んだまま」にならないため、単語や文法を記憶に定着させることができますし、英会話のテンポに慣れることもできるのです。
(5)AIの活用
効果的に英語学習を行うために、最近ではAIも注目されています。
韓国のソウル市の学校では、2024年3月からAIを使った英語学習が取り入れられる予定です。
ネイティブのように英語を話せるロボットが、学校の授業で生徒の会話相手になり、発音の矯正や文法の指導が行われます。
学校の先生が指導できない部分をロボットが補助することで、子供たちはモチベーションを落とすことなく、英語学習を継続することができるでしょう。
韓国と同じく急速な少子高齢化に直面している日本においても、AIやロボットを活用した英語学習が拡大していくことが期待されます。
3.まとめ
本記事では、韓国人の英語力や韓国の英語教育に関して、解説してきました。
グローバル化に伴い、海外での就職や有名大学への進学を見据える韓国人が増え続けているため、韓国における英語教育は益々発展を遂げるのではないでしょうか。
日本の英語教育も徐々に改善されてきていますが、今回ご紹介したような、韓国の効果的な英語教育から学び、吸収できることは多いと思います。
本記事も最後まで読んでいただきありがとうございました。