社会人のワーキングホリデー、実はリスクが高い?後悔しないためのポイントをご紹介!
英語学習者であれば、一度は挑戦を考えたことがあるワーキングホリデー。略してワーホリとは、1年もしくはそれ以上の期間(基本は最長1年間)、海外に滞在して就学と就労を行う制度です。
すべての国に行けるわけではなく、日本と協定を結んでいる国のみ渡航することができます。
18歳以上で30歳以下(一部の国は18歳以上で25歳もしくは26歳以下)という年齢制限があるため、大学卒業後にワーホリに行く人もしばしば。一度企業に就職して退職後にワーホリにチャレンジする方もいます。
ワーホリは、異文化に触れながら英語力を向上させることができる魅力的な制度です。人生を華やかにする、かけがえのない経験を得ることができることでしょう。
しかしメリットとデメリットは表裏一体。利益ばかりに意識を向けていると、思わぬ不利益にあたふたしてしまうかもしれません。
そのため、ワーホリを検討している方は、ぜひデメリットも知っておきましょう。最悪を想定して行動することで、様々なリスクを回避することができます。
1.ワーキングホリデーに行くメリット
まずはワーホリを検討されている方の後押しになるように、メリットをご紹介したいと思います。
1-1.生きている英語に触れることができる
ワーホリの醍醐味は、やはり“生”の英語を経験できることでしょう。
教科書や参考書に記載されている英語は、かしこまりすぎている表現だったり、日常では使われていないフレーズだったりと、ある種現実離れした英語が載せられていることが多々あります。
例えば日本のアニメでは「役割語」と呼ばれる、特定の言葉遣いで特定の人物を思い浮かばせる言葉が多く使われているため、アニメばかりで日本語を勉強していると少し偏った言葉遣いになることがあります。
「⚪︎⚪︎じゃ」と聞けば、年寄りの人物を想起すると思いますが、実際の高齢者はあまり使わない表現です。
このように印刷されたテキストを使用すると、日常生活では用いないフレーズを覚えてしまうことがあるため、やはり実際に使われている英語に触れることが大切です。
特に印刷された活字は、変化に対応することができないため、自然な英語が身につきにくくなります。言語、とりわけ話し言葉は日々変化しているのです。
1-2. コミュニケーション能力を養うことができる
TOEICや英検(実用英語技能検定)で高得点を取っているのに、なかなか英語が話せない……といったお悩みをよく耳にします。
その多くは「話すこと」の経験不足です。
そもそも私たちは普段、何気なく日本語を喋っていますが、実は脳の高度な処理が行われています。それが第二言語となればさらに複雑な脳処理になるため実践的な練習が必要です。
ワーホリでは“Face To Face”の会話ができ、自然とスピーキングスキルが高まっていくことでしょう。
1-3.就職活動に活かすことができる
将来的に外資系や教育系で働きたいと考えている方は、就職活動を有利に進めることができます。
TOEICでハイスコアを獲得した事実よりも、自分で海外に赴き、英語を使って『お金を稼いだ』という事実を評価してくれる企業も多いと思います。
また英語を使わない職業であっても、目標達成力、自己啓発力、環境適応力など色々な部分でアピールすることが可能です。ワーホリの経験があれば、面接において自信に満ち溢れた立ち振る舞いをすることができるでしょう。
1-4.人生で貴重な出会いがある
近年はインバウンド効果で、日本国内において多くの外国人を目にします。もし彼らと国内で仲良くなったとしても、彼らのほとんどは旅行客なので、その場限りの付き合いになるでしょう。
しかしながらワーキングホリデーは長期滞在型の就労制度のため、現地で知り合った方と長い付き合いをすることができます。そして渡航先が第二の故郷となり、あなたの人生をより彩ってくれることでしょう。
1-5.効率的にお金を稼げる
「ワーホリで月50万円を稼ぐ!?」といったニュースを観たことはありませんか?
例えばオーストラリアは、2024年9月において最低賃金が時給2,000円以上と高く、日本でアルバイトをするよりも給与水準が高いです。そのため、濠ドルを日本円に換算すると正社員並みの日本円を稼ぐことができます。
しかしオーストラリアは物価が高いので、オーストラリアでの生活費はそれなりにかかることを念頭に置いておかなければなりません。
このように、海外で稼いだお金を日本円に換算すると、場合によっては想像以上の資産になることがあります。
2. ワーキングホリデーのデメリット
続いて、ワーホリの落とし穴でもあるデメリットをご紹介していきます。
2-1. 資金を集める必要がある
ワーホリに行くためには、留学サポート費用や、ビザ申請費用、航空券代、そして海外旅行保険費用などさまざまなお金がかかってきます。
これら初期費用に加えて現地での生活費も必要なため、余裕のある生活を送るためには全体で250万円ほど必要でしょう。
ワーホリでは働くことに加えて“自由な旅”をすることも醍醐味の一つなので、資金に余裕がないとせっかくの海外生活が味気ないものになってしまいます。
よほど年収が高い方でなければ、250万をやすやすと貯めるのは難しいと思います。日本で働きながらコツコツと計画的に貯め、ときには節約をしながら貯蓄しなければなりません。
具体的な対策としては、いち早くワーホリのことを調べて明確なスケジュールを立てておきましょう。目標があれば継続して節約することができます。
しかし、過度な節約は健康を害することにつながるので、自分の収入に見合った計画を練りましょう。固定費を抑えたいのであれば、実家に帰ったり、格安スマホを使ったりするなど様々な工夫が考えられます。
2-2. 希望の国に行くことができない可能性がある
日本とアメリカ合衆国は歴史的な関わり合いが強く、私たちは小学校のときからアメリカ英語を学んでいます。
しかし、日本はアメリカとワーキングホリデーに関する協定を結んでおらず、私たちはアメリカにワーホリとして渡航することができません。このように、訪れたい国に必ずしも行けるわけではないことに注意が必要です。
また国によって申し込み時期が異なったり、定員数が設けられていたりすることから、本来は行ける国であっても希望に沿わない結果になることもあります。
しかし世界は広いです。どの国に行ったとしても貴重な経験を培うことができるでしょう。
楽しいことだけでなく辛いことがあっても、その明暗がペルシャ絨毯のように人生を美しく彩り、きっと素晴らしい思い出となること間違いありません。どこに行くのかではなく、何をするのかが大切です。
2-3. 文化的な孤立感を抱く
異文化体験はワーホリの大きな魅力ですが、現地の生活に慣れるまでは孤立感を覚えるでしょう。そのようなときに下宿先にこもってしまうと、せっかくの機会が台無しになってしまいます。
精神的なストレスは行動や言動を制限してしまうので……。
入居の手続きや職探しの方法など、入国後にしなければならないことは多くあり、前向きに行動するためにも異文化に慣れておきましょう。
具体的な対策としては、ある程度英語を喋ることができる自信を持ってからワーホリに申し込むことをオススメします。
ネイティヴのように流暢な英語を話すことができなくても“自信”さえあれば、積極的にコミュニケーションを取ることができます。
オンライン英会話や地元の英会話教室でスピーキングの練習をし、異文化に慣れ親しんでおくことが大切です。
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また海外に行って、すぐに働くことなく「語学学校」に入学することもできます。英語に不慣れな方は、最初の3ヶ月間は熱心に英語を勉強して、そのあとに職を探すという手順を取ることも可能です。もちろん費用がかさんでしまいますが……。
2-4. 生活が苦しくなることもある
ワーホリ期間中はアルバイト雇用のため安定しません。希望の職につくことができないどころか、突然職を失うこともあります。
そうなった場合は貯蓄を切り崩しながら生活をしなければならなくなるため、余暇を十分に楽しめないことも……。
加えて円安の場合は、日本円の価値が下がっていることから渡航先でいつも以上に円が必要になります。また帰国後に資金難に陥って、スムーズな就職活動を行うことができない可能性もあります。
具体的な対策としては、下調べの段階でその国の物価や情勢を確認しておきましょう。
現代は情報社会です。SNSを通じて実際にワーホリに挑戦している人や現地人とコンタクトを取ることで、どのような生活をしているのかをある程度想像できます。上手くいけば職を紹介してもらえるかもしれません。
2-5. 就職(転職)活動が不利になる
先ほどワーホリに行くと「就職活動が有利になる」と述べたばかりですが、実は不利になるケースもあります。
ほとんどの学生は大学を卒業したあとにワーホリに行きます。大学生もワーホリに挑戦することはできますが、費用がかかることと、卒業が遅れてしまうことを理由に諦める方が多いです。
基本的に学生は、渡航先で単位が取得できるように交換留学や語学留学を選ぶでしょう。
そのためワーホリに行くのは社会人になってからがほとんど。つまり、同級生はサラリーマンとして会社に勤めている時期にあたるので、職歴に空白が生まれてしまいます。
さらに帰国後に就職活動を行う場合、新卒として扱われないため中途採用の枠に限られます。
そもそも中途採用の枠は、新卒と比べて少なく倍率が高いです。加えて中途採用は応募条件を課している場合が多く、以下のような応募条件を設定している企業も多数あります。
・社会人経験3年以上 ・営業経験1年以上 ・英語を用いた実務経験あり |
このような条件がある場合、書類の段階で落とされてしまい、希望職に就けなくなる可能性があります。
また30歳を越えてしまうと「未経験」で雇ってくれる企業が極端に少なくなってしまい、英語を流暢に話すことができても経験不足として扱われ採用されないことも……。
具体的な対策としては、ワーホリに行く前に勤めている会社と交渉して1年間の休暇がもらえないか確認してみることです。親身になってくれる企業であれば、帰国後に復職できるかもしれません。
また現在はオンライン面接を行っている会社も多くあるので、帰国が近づいてきた段階で、海外からエントリーすることも効果的です。海外に住んでいることをアピールすることができれば評価されることでしょう。
3. おわりに
ワーキングホリデーは入念な準備が必要です。
例えば、出国前に海外転居届を出すことで「国民年金・健康保険・住民税」が免除されます。もし提出しなければ海外に滞在中にも支払い義務が生じるので注意しましょう。
また、ヨーロッパは格安航空会社(LCC)が日本よりも充実しているので、早めに予約をすれば費用を抑えることができます。
このように知識さえあればお得になることもたくさんあるので、しっかりと調べて計画を立てていきましょう。
みなさんの快適な英語ライフを願っています。