小学生向け英検®3級対策[文法編part.3(現在完了形)]
第3回目です。
前回の記事を読んでいない方は、まずそちらをどうぞ。
この記事は、現役の英会話スクール講師が「小学生でもわかりやすい」を目標に英文法を紹介するものです。
今書店で買える文法書の多くは中学生以上向けで、漢字や文法用語がふんだんに使われており、子供1人で勉強をするには難しいことでしょう。
学校や中学校でどんどん内容が難しくなってきている英語という科目を、予備知識なしで独学するには大変な根気とやる気が必要だからです。
残念ながら多くの小学生にとって、英語に対してそれほどのモチベーションはありません。
かといって保護者の方がつきっきりで教える、ということは時間的にも難しいでしょうし、大抵思春期に入ってきている子供と親は口論になります。
この記事の目標は、子供が自力で英語の教科書を使って学べるようになるための予備知識をつけることです。
そのため、極力文法用語を使わずに英検®3級の英文法をご紹介します。是非お子さまと一緒にご覧ください。
後半に練習問題を付け加えます。知識の定着にお役立て下さい。
現在完了形とは
“I have lived in Tokyo for 10 years.” 私は10年前から東京に住んでいます。
“Rika has been busy since last week.” リカは先週からずっと忙しいです。
“I have already had dinner.” 私はもう夕食を食べてしまいました。
“Takeshi has just left home for school.” タケシはちょうど学校に向かって家を出たところです。
“I have been to Canada.” 私はカナダに行ったことがあります。
“I’ve never eaten Mexican food.” 私は一度もメキシコ料理を食べたことがありません。
前回、過去分詞についてお話をしました。
過去形と同じだったり、形が似ているものだったりが多いから小学生のうちにできるだけ覚えてしまいましょうというお話でした。
また、be動詞と過去分詞をセットで使うことで「~される、されている」という文を作ることができましたね。
今回は過去分詞を使った他の表現を紹介します。
“I lived in Tokyo for 10 years.” 私は10年間東京に住んでいました。
“I have lived in Tokyo for 10 years.” 私は10年間東京に住んでいます。
正直、日本語だけ見ると「そっくりじゃん、何が違うの?」と不思議に思うことでしょう。
英文を見ると”have”があるかどうかの違いです。
実はそっくりなようで、言いたいことはかなり変わるのです。
“I lived in Tokyo for 10 years.”
この文はあくまで、10年間東京に住んでいたという事実を話しているので、今も住んでいるのかは不明です。
“I have lived in Tokyo for 10 years.”
しかし、”have”があると意味が変わり、10年間ずっと住んでいて、今も東京に住んでいるという意味になるのです。
ではどうしてここまで意味が変わってしまうのかというと、それは”have”のイメージのせいなんです。
“have”は「持っている」という意味でした。
なので、「今も大事にその経験や思い出などを持っている、その何かが手の届く近くにある」というイメージを持っているんです。
“I have been to America.” 私はアメリカに行ったことがあります。
なら、アメリカに行ったという経験や思い出を大事に持っている。
“I have just finished my homework” 私はちょうど宿題を終えたところです。
なら、終わったばかりでまだ宿題を終えたという感覚が近くにある、残っている。
“I have never eaten natto.” 私は納豆を食べたことがありません。
なら、納豆を食べるという経験を持っていない。
のような、「その感覚が今も残っている」、もしくは「今もその思い出や経験を大事に持っている」と言いたい時に使うのが”have+過去分詞”です。
これを中学校では現在完了形という名前で習います。
「現在完了形は完了、経験、継続と3つの意味にわかれます。日本語にはない考え方です。そして…」と学校の先生はややこしく説明をしてこちらを混乱させようとしてくるかもしれません。
しかし、頭の中で図を描きながら、「まだ感覚残ってるのかな?」、「大事に今も持っているのかな?」とイメージしながら文を組み立てると理解しやすいかと思います。
今回登場した文法用語なのですが、できたら覚えるくらいで最初は問題ないです。
大事なことは、使うとどういう意味になるのか、どのようなときに使わないといけないのか、ルールを知ることです。
あとはたくさん練習をして、完全に定着させていきましょう。
実際に問題を解いてみよう!
では、実際に問題を解いてみましょう。指示された英文を書き直してみましょう。
日本語にも直してみましょう。
(1) I came to Japan five years ago. I still live in Japan.
[私は5年間ずっと日本に住んでいます、という文にしましょう]
(2) She came to Kyoto last year. She still lives in Kyoto.
[彼女は去年からずっと京都に住んでいます、という文にしましょう]
(3) He became sick on Sunday. He is still sick.
[彼は日曜日からずっと具合が悪いです、という文にしましょう]
(4) [先週からずっと雨が降っていません、という文にしましょう]
※ヒント:雨が降るは”rain”.
(5) You made lunch.
[あなたはもう昼食を作ってしまいました、という文にしましょう]
(6) I called Lisa.
[私はリサにたった今電話をしたところです、という意味の文にしましょう]
(7) I have already read the newspaper.
[私はまだ新聞を読んでいません、という意味の否定文にしましょう]
(8) I have already read the newspaper.
[あなたはもう新聞を読みましたか、という意味の疑問文にしましょう]
(9) I went skiing in Hokkaido.
[私は北海道で2回スキーをしたことがあります、という意味の文にしましょう]
(10) She read many books in French.
[彼女はたくさんのフランス語の本を読んだことがあります、という文にしましょう]
(11) I have heard of Tom.
[私はトムのことを1度も聞いたことがない、という意味の否定文にしましょう]
(12) I have heard of Tom.
[トムのことを今までに聞いたことがありますか?という意味の疑問文にしましょう]
[解答]
(1) I have lived in Japan for 5 years.
私は5年間ずっと日本に住んでいます。
(2) She has lived in Kyoto since last year.
彼女は去年からずっと京都に住んでいます。
(3) He has been sick since Sunday.
彼は日曜日からずっと具合が悪いです。
(4) It has not rained since last week.
先週からずっと雨が降っていません。
(5) You have already made lunch.
あなたはもう昼食を作ってしまいました。
(6) I have just called Lisa.
私はリサにたった今電話をしたところです。
(7) I have not read the newspaper yet.
私はまだ新聞を読んでいません。
(8) Have you read the newspaper yet?
あなたはもう新聞を読みましたか?
(9) I have gone skiing in Hokkaido twice.
私は北海道で2回スキーをしたことがあります。
(10) She has read many books in French.
彼女はたくさんのフランス語の本を読んだことがあります。
(11) I have never heard of Tom.
私はトムのことを1度も聞いたことがない。
(12) Have you ever heard of Tom?
トムのことを今までに聞いたことがありますか?
いかがでしたか?
なれてくれば、きっと良い点がとれるようになります。また、数日後に同じ問題を解いてみましょう。復習が大切です。
最後に
今まで述べてきたことをまとめると、
・過去分詞を覚えよう
・have+過去分詞で現在完了形
・「今も大事にその経験や思い出などを持っている、その何かが手の届く近くにある」というイメージを持とう
の3点です。
かなりかいつまんで紹介したため、説明しきれていない部分も多々ありますが、それは次回以降で補填できればと考えております。
現在完了形のイメージをつかむことは難しく、また英検®3級で出題されるだけでなく中学3年生定期テストの山場でもあります。
英語特有の言い回しで、ぴったりの概念が日本語にはないため最初に転ぶと子供はずっと苦手意識を持ってしまうことでしょう。
かくいう私も中学時代、学校の先生の説明がまるで理解できず現在完了形とはしばらく距離を置こうと心掛けていました。良くなかったですね、ほんと。
ですから、英語をある程度読めるようになってきた小学生相手に「現在完了形は経験、完了、継続の三用法があり…」などと細かい知識やルールを押し付けるよりも、まずは自力で学習できるような下地を作ってあげるのが、保護者や教師を始めとする周りの大人達の役割なのではと考えております。
しっかりと努力し勉強すれば、小学生でも中学生レベルの文法事項を理解することは決して不可能な目標ではありません。
その学習意欲を維持するためにも、英検®は良い選択肢であると思います。
この記事が、少しでも多くの英語学習者や保護者の方々の役に立てば幸いです。
英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
さびねこ
【自己紹介】
英検1級取得後、英語講師を経て、フリーランスで翻訳・ライティング業務を行う。
【英語力・指導経験】
都内の大学(法学部法律学科)大学在学中に英検1級に独学で合格。その後、英会話スクールにて、幼児クラスから、小学生向けクラス、そして、高校生・社会人クラスと一通り担当。独学で英語をマスターし他経験、指導経験から、学習者としての視点と指導者としての視点双方から発信しています。
【資格およびスキル等】
・英検1級・法律英語
・スペイン語、イタリア語、インドネシア語会話(まだ初級~中級レベル)