小学生向け英検®5級対策[文法編part.4(助動詞)]
小学生向け英検®5級対策、文法編の第4回目です。
前回の記事を読んでいない方は、まずそちらをどうぞ。→1回目 →2回目 →3回目
この記事は、現役の英会話スクール講師が「小学生でもわかりやすい」を目標に英文法を紹介するものです。
今書店で買える文法書の多くは中学生以上向けで、漢字や文法用語がふんだんに使われています。
残念なことに、小学校や中学校でどんどん内容が難しくなってきている英語という科目を、予備知識なしで独学するには大変な根気とやる気が必要です。
多くの小学生にとって、英語に対してそれほどのモチベーションはありません。
かといって保護者の方がつきっきりで教える、ということは時間的にも難しいでしょうし、大抵思春期に入ってきている子供と親は口論になります。
この記事の目標は、子供が自力で英語の教科書を使って学べるようになるための予備知識をつけることです。
そのため次のページからは、振り仮名を使い、極力文法用語を使わずに英検5級の英文法をご紹介します。是非お子さまと一緒にご覧ください。
後半に練習問題を付け加えます。知識の定着にお役立て下さい。
canとは
“I can speak English.”
“He can ride a bike.”
“I cannot hear the radio.”
“Can your sister swim fast?”
“Can you open the door?”
“Can I open the window?”
“can”という言葉は、じつはとても難しいです。
いやいや知ってるよ、「~できる」って意味でしょう?
と思っているそこのあなた。
おしい、基本的なイメージは合っています。
例文とともにもう一歩ふみこんでみましょう。
①の“I can speak English.” は、“can”を取るとどうなるでしょう。
“I speak English”「わたしは英語を話します。」
ですね、前回も話した通り、”speak”というふつうの動詞、一般動詞は今の話だけでなく、昔や将来も含めたふだんの話をするときに使う表現でしたね。
(“I speak English “. ふだんから英語を話している)
speakの前に”can”を入れると、「(ふだんから)わたしは英語を話せます」という意味になりますね。
②の文を見てみましょう。少し違和感がありませんか?
文の先頭の言葉、主語が“I”や”you”ではなく、また過去や将来ではなくふだんの話をしている文です。
そう、意味は変わらないけれど、動詞のあとに“s”をつけるというルールがありましたね。
三人称単数現在形という専門的な名前もついていました。
ならこの文は、
“He can rides a bike.” かれは自転車に乗ることができる。
が正解ではないのかというと、実は不正解です。
“can”のように動詞の前について意味をつけ加えてくれる言葉を、中学生風に言うと助動詞といいます。漢字の通り、動詞を助ける言葉です。
今日覚えてほしいルールは、助動詞のあとの動詞には何もつけてはいけない、ということです。
“can”のあとには、“s”や“ing”をつけるのは禁止なのです。
また、助動詞“can”のルールはシンプルでbe動詞のルールとそっくりです。
“I am a doctor.”
“I am not a doctor.”
“Are you a doctor?”
“Yes, I am.” / “No, I am not.”
be動詞(“am”, “is”, “are”)を使った文章のおさらいです。
=の意味をもつbe動詞は、主語の次にきます。
また、be動詞のうしろに“not”をつければ、「~じゃあない」という否定文ができますし、主語とbe動詞をひっくり返すと「~ですか?」という疑問文をつくることができました。
“can”も同じです。
③をもとに文を作り変えます。
“I can hear the radio.” ラジオが聞こえます。
“I cannot hear the radio.” ラジオが聞こえません。
“Can you hear the radio?” ラジオが聞こえますか?
be動詞のルールとさえ覚えてしまえば、助動詞“can”のルールだって同時に覚えてしまえるということがわかりますね。
なんだ、助動詞って簡単じゃあないかと思ったあなたに、もう少し詳しい話をしましょう。
“Can you open the door?”
“Can I open the window?”
この文を日本語にしてみてください。
「あなたはドアを開けることができますか?」
「わたしは窓を開けることができますか?」
だと、言えなくはないんですが、違和感がありますよね。ドアや窓くらい、簡単に開けられるんだから聞くまでもないよと思いませんか。
実はこれらの文を日本語にすると、こうなります。
“Can you open the door?” ドアをあけてくれませんか? (依頼)
“Can I open the window?” 窓を開けてもいいですか? (許可)
混乱せずに、まずイメージしてみましょう。
“can”は「~できる」が基本の意味でしたね。
※画像はShutter Stockより
実はそこから意味が増えます。
「わたしは窓を開けたいんだけど、開けることはできるかな? (開けてもいいかな?)」
という具合にイメージがつながれば、
“Can I open the window?”
という相手に「~してもいい?」と許可をとっている文の意味はわかりやすくなると思います。
同じく、
「あなたにドアを開けてほしいんだけど、開けることはできるかな?(開けてくれない?)」
という具合にイメージがつながれば、
“Can you open the door?”
という相手に「~してくれない?」とお願いしている文の意味はわかりやすくなると思います。
これらの文のポイントは主語です。
主語は文の主人公であり、“open”という動作を行う人なのです。
誰が開けるかによって、聞き方が変わるのは当然ですよね。
5級では登場しないため今回は説明しませんが、助動詞には意味合いがたくさんあるため、色々なタイミングで使えるということを覚えておきましょう。
また、今回登場した難しい文法用語は、できたら覚えるくらいで最初は問題ないです。
大事なことは、使うとどういう意味になるのか、どのように使わないといけないのか、ルールを知ることです。
あとはたくさん練習をして、完全に定着させていきましょう。
実際に問題を解いてみよう!
では、実際に問題を解いてみましょう。指示された形に文を直してください。もしくは、正しいものを選んでください。その後日本語にしてみてください。
(1) He plays tennis. (canを使って…できるという文に)
(2) She speaks French. (canを使って…できるという文に)
(3) Chris plays basketball. (canを使って…できるという文に)
(4) Jocelyn runs fast. (canを使って…できるという文に)
(5) My brother drives a car. (canを使って…できないという文に)
(6) My mother understands Spanish. (canを使って…できないという文に)
(7) He can ( cook ・ cooks ・ cooking ) well.
(8) My father usually ( play ・ plays ・ are playing ) tennis.
(9) Yuri is ( use ・ uses ・ using ) a computer.
(10) He ( is ・ do ・ doing ) a doctor.
(11) Mom, can ( I ・ you ) go to the park and play soccer with Tom?
(12) I’m looking for Room 322. Can ( I ・ you ) tell me where it is?
(13) Hey, can ( I ・ you ) borrow your scissors?
(14) Can ( I ・ you ) tell me the way to the post office?
[解答]
(1) He can play tennis. かれはテニスができます。
(2) She can speak French. かのじょはフランス語を話せます
(3) Chris can play basketball. クリスはバスケができます。
(4) Jocelyn can run fast. ジョスリンは速く走れます。
(5) My brother cannot drive a car. わたしの兄は車を運転できません。
(6) My mother cannot understand Spanish. わたしのお母さんはスペイン語がわかりません。
(7) He can cook well. かれは上手に料理できます。
(8) My father usually plays tennis. わたしのお父さんはふだんテニスをします。
(9) Yuri is using a computer. ユリはパソコンを使っています。
(10) He is a doctor. かれは医者です。
(11) Mom, can I go to the park and play soccer with Tom? お母さん、公園に行ってトムとサッカーしてきてもいい?
(12) I’m looking for Room 322. Can you tell me where it is? 322号室を探しているんですが、どこか教えてくれませんか?
(13) Hey, can I borrow your scissors? ねえ、はさみを借りてもいい?
(14) Can you tell me the way to the post office? 郵便局までの行き方を教えてくれませんか?
いかがでしたか?なれてくれば、きっと良い点がとれるようになります。また数日後に同じ問題を解いてみましょう。復習が大切です。
最後に
今まで述べてきたことをまとめると、
・助動詞canのあとは何もつけない動詞
・助動詞canとbe動詞の書き換えルールはそっくり
・助動詞canには意味合いがたくさんある
の3点です。
かなりかいつまんで紹介したため、説明しきれていない部分もあることでしょうが、それは次回以降で補填できればと考えております。
助動詞は奥が深く、英検®5級、4級で出題されるだけでなく中学1、2年生定期テストの山場でもあります。
助動詞の使い分けや言い換え表現への書き換えを苦手とする生徒は多いです。
be動詞の原形などは生徒が間違いやすいですし、この単元で実際に覚えるべきことはもっと多いです。
しかし、英語をある程度読めるようになってきた小学生相手にそのような細かい知識やルールを押し付けるよりも、まずは自力で学習できるような下地を作ってあげるのが、保護者や教師を始めとする周りの大人達の役割なのではと考えております。
しっかりと努力し勉強すれば、小学生でも中学生レベルの文法事項を理解することは決して不可能な目標ではありません。
その学習意欲を維持するためにも、英検®は良い選択肢であると思います。
この記事が、少しでも多くの英語学習者や保護者の方々の役に立てば幸いです。
https://www.qqeng.com/lp/eiken_vocabulary/
さびねこ
【自己紹介】
英検1級取得後、英語講師を経て、フリーランスで翻訳・ライティング業務を行う。
【英語力・指導経験】
都内の大学(法学部法律学科)大学在学中に英検1級に独学で合格。
その後、英会話スクールにて、幼児クラスから、小学生向けクラス、そして、高校生・社会人クラスと一通り担当。
独学で英語をマスターし他経験、指導経験から、学習者としての視点と指導者としての視点双方から発信しています。
【資格およびスキル等】
・英検1級・法律英語
・スペイン語、イタリア語、インドネシア語会話(まだ初級~中級レベル)