受験英語は英会話教室だけで大丈夫? | 新!保護者の知恵袋 #7
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保護者の悩み(7歳 男の子)
6歳から英会話教室へ通っています。
外国人講師もいて、英語検定にも対応してくれる良い教室です。
しかしこの先の中学受験を考えると、受験英語に関しては英会話教室ではなく国語や算数など他教科と同じように塾へ切り替えた方が良いのかと悩みます。
生きた英語を学ぶなら英会話教室でしょうが、受験対策なら英語塾の方が良いのでしょうか?
「受験対策」は英会話教室だけで大丈夫?
結論から言うと、受験のための英語が必要なのであれば、塾や家庭教師などを利用して、いわゆる「受験英語」に取り組むことをおすすめします。
受験や資格試験は「合格する」という明確な目標があります。
その場合は、「英会話が得意」というのはあまりポイントにはならないと考えたほうが良いでしょう。
その理由は「受験英語」と「英会話」はそれぞれ必要な能力が違うからです。
この記事では、受験英語と英会話のメリットと弱点を見比べて、状況に応じた使い分けについて解説いたします。
「受験英語」と「英会話」の根本的な違い
「受験英語/資格英語」も「英会話」も同じ「英語」です。
ですが、両者の性質は相反していて、どちらとも習得することで初めて「英語が話せる人」となることができるのです。
車の教習所で例えてみる
「受験英語」と「英会話」の違いは「車の運転」に例えると分かり易いかもしれません。
自動車免許を取得するためには、自動車学校で「実技」と「学科」を学びます。
それがもしも学科教習だけだったらどうでしょうか。
学科試験に合格し免許を取得した後で「はい、これが車です。」と言われ、ひとりで道路に残されたら…。
すぐに車に飛び乗ってスイスイと運転できる人は少ないのではないでしょうか。
これを、車の運転が「英語」として、学科が「受験」・実技を「会話」とそれぞれ置き換えてみてください。
英会話もそれと同じで、知識だけを勉強しても、英語が話せるようにはなりません。
なぜなら、学科教習では法律やルール、車の運転に関する基礎知識については学べますが、実際に車に乗ってハンドルを触りブレーキを踏まなければ、本当に車を運転するという「感覚」がつかめないからです。
逆に、免許を持っていなくても、車の運転自体は可能ですよね。
ただし、この場合は、標識の意味や社会のルール、運転のノウハウなどの共通認識を知らないので、事故を起こしやすいです。
英会話で言うと
- 文法がめちゃくちゃで単語だけを繋いで話す
- 会話の内容を感覚で理解しているので聞き違いのミスが多い
などが挙げられます。
つまり、会話で重要な「意思の疎通」が本人の気づかないところで上手く機能しない可能性があるのです。
「英会話」ってどんなことを勉強するの?
英会話とは、文字通り「英語で会話する」ことです。
ですので、英会話スクールは単純に言うと「英語で会話するための練習をする場所」ということになります。
また「英会話が上手な人」というのは、実際には「英語」が上手な人ではなく「会話する」こと自体が上手な人の場合が多いはずです。
「会話が上手な人」は、使用する言語が「日本語」でも「英語」でも「スペイン語」でも「フランス語」でも、状況に慣れれば同じように要領よく会話をすることができるのではないでしょうか。
なぜかというと、「英会話の上達」は
「英語の知識をたくさん習得すること」
ではなく
「英語を使って会話することに慣れる」
ことがポイントだからです。
英会話を習うメリット
英会話を習うことにはさまざまなメリットがあります。
以下に代表的なものを羅列します。
- 英語のリズムが身につく
- 外国人と話せるようになる
- 英語に身構えなくなる
- 外国の友達が増える
- 旅行に役に立つ
- 音楽や映画鑑賞の幅が広がる
- 将来の留学や就職に備えられる
- 英語のサークルなど活動範囲が広がる
英会話の弱点
英会話における「英語」の位置づけは、英語でなにかをするための「手段」です。
重要なのは「英語」そのものではなく「手段である英語を使って何をするのか」という「目的」が重要です。
「何か」とは、例えば、旅行、読書、映画鑑賞、友達作りなどです。
また、英会話は「インプット」よりも「アウトプット」が強い性質があります。
そのため、事前からある程度の英語の知識(インプット量)を持ち合わせていないと、そもそも発話する(アウトプットする)ことができないのです。
「受験英語」ってどんなことを勉強するの?
受験英語または英検などの資格英語は、主に以下のようなことを重点的に勉強します。
- 単語
- イディオム
- 文法
- 英文解釈
- 長文読解
これらはほとんどが記憶力(インプット)に頼ったものです。
情報を記憶する作業なので、一般的な会話に求められる「積極性」や「社交性」「状況判断力」などは必要ありません。
受験英語のメリット
受験英語を勉強するメリットは、何と言ってもインプット量(知識)が増えるということです。
以下は小学校から高校までの間で学習するとされる「英単語数」の表です。
一般的なネイティブスピーカーは約20,000~30,000語の単語を知っており、彼らが日常英会話で使う単語数は約2,000~3,000語と言われます。
つまり、中学校の英語をきちんと勉強しておけば、ある程度の会話は成立させられるということです。
必要単語数 | 累計 | |
小学校 | 600~700語程度 | 600~700語程度 |
中学校 | 1,600〜1,800語程度 | 2,200~2,500語程度 |
高校 | 1800~2500語程度 | 4,000~5,000語程度 |
小・中・高校とも教科書により語数が異なり、高校は履修する科目により差異があります。
受験英語の弱点
英会話は「手段」です。
そしてその「手段」を使って「目的(旅行や読書)」に到達する必要があると解説しました。
では受験英語はというと、この場合は、英語の学習自体が「目的」になります。
ただし、厳密に言えば「受験のため」の勉強なので、本来の目的(ゴール)は「受験合格」です。
暗記は「静の作業(インプット)」なので、アウトプットが全く必要ありません。
結果的に、読んだり聞いたりする作業は比較的得意になりますが、書いたり話したりする「動の作業(アウトプット)」がおろそかになる傾向があります。
英会話と受験英語の比較
英会話と受験英語の違いをまとめると以下のようになります。
受験(資格)英語 | 英会話 | |
英語の位置づけ | 目的 | 手段 |
性質 | インプット | アウトプット |
上達技能 | 読む・聞く | 書く・話す |
必要な能力 | 根気・忍耐力・記憶力 | 積極性・社交性・状況判断力 |
ポイント | 一定の成果を得るためにはある程度の期間が必要 | 感覚をつかめば短期間で上達できる |
結論|双方のバランスを取ることが大切
英会話は「アウトプット(書く、話す)」、受験英語は「インプット(聞く、読む)」を重視しているという、2つの違う役割があることから、英語の上達には両方ともを長期的に継続することが求められます。
とはいえ、英語以外の科目の勉強や部活動のある学生にとって、限られた時間とお金を英語だけに費やすことも難しいことかもしれません。
質問者さまのお子さまは現在小学生とのことです。
であれば、ひとりで海外へ行って外国人と話したりすることはまれでしょう。
すぐに英会話が必要な環境にいる場合を除き、小学生から中学生はインプットの比重を多くしておき、高校生以上からは次第にアウトプットの量を増やす形でバランスを取ることをおすすめします。
ただし、せっかくお子さまが英会話教室を楽しんでおられるのであれば、英会話教室は月に1回などと回数を減らして通うといい刺激になるかもしれません。
月謝制のため同じ教室に通うのが難しいようであれば、オンライン英会話スクールなど、安価に継続が可能なスクールに一時的に通うのもアイディアのひとつになります。
まとめ
英語上達のための基本4技能は「読む」「聞く」「話す」「書く」です。
受験英語(インプット)と英会話(アウトプット)は、英語上達のためにどちらも必須のスキルということになります。
両者を上手に使いこなして、英語力アップを目指しましょう。
受験合格をお祈り申し上げます!