小学生向け英検®5級対策[文法編part.5(命令文)]
小学生向け英検®5級対策、文法編の第5回目です。
前回の記事を読んでいない方は、まずそちらをどうぞ。→1回目 →2回目 →3回目 →4回目
この記事は、現役の英会話スクール講師が「小学生でもわかりやすい」を目標に英文法を紹介するものです。
今書店で買える文法書の多くは中学生以上向けで、漢字や文法用語がふんだんに使われています。
残念なことに、小学校や中学校でどんどん内容が難しくなってきている英語という科目を、予備知識なしで独学するには大変な根気とやる気が必要です。
多くの小学生にとって、英語に対してそれほどのモチベーションはありません。
かといって保護者の方がつきっきりで教える、ということは時間的にも難しいでしょうし、大抵思春期に入ってきている子供と親は口論になります。
この記事の目標は、子供が自力で英語の教科書を使って学べるようになるための予備知識をつけることです。
そのため次のページからは、振り仮名を使い、極力文法用語を使わずに英検5級の英文法をご紹介します。是非お子様と一緒にご覧ください。
後半に練習問題を付け加えます。知識の定着にお役立て下さい。
命令文とは
“Stand up.” 立ってください。
“Study hard, Ken.” 一生懸命勉強しなさい、ケン。
“Be quiet, Mike.” 静かにしなさい、マイク。
“Please listen to me.” 話を聞いてください。
“Don’t read comic books in the classroom.” 教室で漫画を読んではいけません。
“Don’t play soccer here.” ここでサッカーをしてはいけません。
今まで勉強してきた英語の文は、基本的に主語+動詞という順番でした。
“I play the guitar every day.” わたしは毎日ギターを弾きます。
「~が、…をする」の順番が大切で、それに何かを加えたり並び替えたりすることで、言えることを増やしていこうと勉強してきました。
今回の①~⑥の文には、主人公である主語がないため、誰が何をするのかわかりません。
今回は主語がない文を紹介します。
これらの文を中学校では、命令文と言います
読んで字のごとく、相手に命令をする言い方です。
日本語でも、
「危ない逃げろ!!」
と言いたいとき、わざわざ、「〇〇くん、そこにいたら危ないよ」なんて言いませんよね。
なぜなら、急いでいるからです。
それにわざわざ「〇〇くん」なんて言わなくても、誰に対して言っているかなんてその場にいたらすぐにわかりますよね。
なので英語では、
“Watch out!!”
だけで、“You”のような主語をあえて省略するのです。
主語の省略と合わせてもう一つ、大切なルールを覚えておきましょう。
それは、動詞に“s”や“ing”などをつけないということです。
そもそも、どういうときに“s”や“ing”をつけるか覚えていますか?
主語が“I”, “You”以外で、かつ1人や1個、そしてふだんの話をしている時は動詞の後ろに“s”をつけるというルールがありましたね。三人称単数現在形という名前も、そろそろ憶えてきた頃かと思います。
命令文はそもそも主語がないので、このルールには関係ありません。
では“ing”はどうでしょうか。
これはbe動詞とセットで用いることで、「~している途中だ」と言うことができる表現でしたね。現在進行形という名前も覚えてきましたか?
当然be動詞が存在しないため、このルールと関係はありません。
このように“s”や“ing”がつかない動詞を、中学校では「動詞の原形」という名前で習います。
では、③の文はどういうことでしょうか。
“Be quiet, Mike.”
文の先頭に主語はありません。
では、“be”とはなんでしょうか。
聞き覚えがありませんか?
これ、実はbe動詞の“be”なんです。
実は、今まで紹介してきた“am”、“is”、 “are”というのは、”be”が変身したものたちだったのです。
だからbe動詞という名前がついていますし、意味が同じなのも元が同じであるからです。
“s”や“ing”がついていない、変身前のもとの形を動詞の原形というのです。
原形の「原」は、原材料の「原」です。
何もついていない、変身もしていない動詞のことを指します。
主語が省略され、文の始めが動詞の原形で始まる。
このような文を命令文といい、「~しろ、しなさい」という意味になります。
④のように“Please”をつけ足すと少し丁寧な言い方に変わります。
また、⑤と⑥のように”Don’t”を付け足すと「~するな、してはいけない」という禁止を表すようになります。
ルールを改めて整理しましょう。
①主語を省略する
②文の先頭は動詞の原形(“s”や“ing”, 変身はなし)
この二つの条件が当てはまると、「~しなさい」と命令することができます。
さらにその文の前に“Don’t”をつければ、「~してはいけない」と禁止できます。
では、ここまでは大丈夫、しっかりとわかったよという人向けにもう一歩踏み込んでみましょう。
相手を誘う表現“Let’s”です。
使い方はとても簡単で、ただ命令文の前に“Let’s”をつけるだけで、「~しようよ」という意味になります。
某キノコが好きな赤い服のイタリア人がよく“Let’s go.”と言っていますね。
⑦Let’s go to lunch. お昼に行こうよ。
⑧Let’s call uncle Joe in Tokyo. 東京のジョーおじさんに電話しようよ。
⑨Let’s take a short walk. ちょっと散歩をしようよ。
⑩Let’s begin today’s class. 今日の授業を始めましょう。
今回登場した文法用語は、できたら覚えるくらいで最初は問題ないです。
大事なことは、使うとどういう意味になるのか、どのようなときに使わないといけないのか、ルールを知ることです。
あとはたくさん練習をして、完全に定着させていきましょう。
実際に問題を解いてみよう!
では、実際に問題を解いてみましょう。正しい答えを選び、日本語にしてみて下さい。
(1) Let’s ( stay ・ play ・ be ) tennis, Dad.
(2) ( Don’t ・ Let’s ・ Do ) have a picnic in the park today, Kelly.
(3) My friend ( speak ・ speaks ・ is speaking ) three languages.
(4) Let’s ( go ・ play ・ have ) to lunch, John.
(5) Let’s ( don’t ・ does ・ go ) shopping this afternoon.
(6) ( Go ・ Take ・ Read ) a shower and go to bed.
(7) He ( go ・ goes ・ going ) all over the world for his job.
(8) Don’t ( touch ・ play ・ join ) my book, please.
(9) Please ( cleans ・ cleaning ・ clean ) the table before the party.
(10) ( Be ・ Raise ・ Come ) and join us.
(11) ( Write ・ Listen ・ Study ) your name and age.
(12) My parents ( is ・ am ・ are ) teachers.
(13) Andy ( is ・ am ・ are ) a dentist.
(14) You ( write ・ writes ・ are writing ) a letter now.
[解答]
(1) Let’s play tennis, Dad. テニスをしようよ、お父さん。
(2) Let’s have a picnic in the park. ケリー、今日公園でピクニックをしましょう。
*今日公園でピクニックするな、だと少し意味が変なので”Don’t”は不適当です。
(3) My friend speaks three languages. わたしの友だちは三か国語を話します。
(4) Let’s go to lunch, John. お昼を食べに行かないか、ジョン。
(5) Let’s go shopping this afternoon. 午後買い物に行こうよ。
(6) Take a shower and go to bed. シャワーして寝なさい。
(7) He goes all over the world for his job. かれは仕事で世界中へ行きます。
(8) Don’t touch my book, please. わたしの本に触らないでください。
(9) Please clean the table before the party.パーティーの前に机を片付けてください。
(10) Come and join us. 一緒にやろうよ。
(11) Write your name and age. 名前と年齢を書いて。
(12) My parents are teachers. わたしの両親は先生です。
(13) Andy is a dentist. アンディーは歯医者です。
(14) You are writing a letter now. あなたは今手紙を書いています。
いかがでしたか?なれてくれば、きっと良い点がとれるようになります。また数日後に同じ問題を解いてみましょう。復習が大切です。
最後に
今まで述べてきたことをまとめると、
・基本的な英語の語順は主語+動詞
・主語を省略すると命令文に
・命令文の先頭に”Don’t”をつけると禁止を表す
の3点です。
かなりかいつまんで紹介したため、説明しきれていない部分もあることでしょうが、それは次回以降で補填できればと考えております。
命令文は奥が深く、英検®5級、4級で出題されるだけでなく中学1年生定期テストの山場でもあります。
be動詞の命令文の書き間違え、また中学2年生になれば“must”や“have to”を絡めた言い換え表現問題なども苦戦する生徒は多いです。
動詞の原形と現在形の微妙な違いに苦しむ生徒は多いのだから、説明すべきだろうという意見もあるかと思います。
しかし、英語をある程度読めるようになってきた小学生相手にそのような細かい知識やルールを押し付けるよりも、まずは自力で学習できるような下地を作ってあげるのが、保護者や教師を始めとする周りの大人達の役割なのではと考えております。
しっかりと努力し勉強すれば、小学生でも中学生レベルの文法事項を理解することは決して不可能な目標ではありません。
その学習意欲を維持するためにも、この記事が、少しでも多くの英語学習者や保護者の方々の役に立てば幸いです。
英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
https://www.qqeng.com/lp/eiken_vocabulary/
さびねこ
【自己紹介】
英検1級取得後、英語講師を経て、フリーランスで翻訳・ライティング業務を行う。
【英語力・指導経験】
都内の大学(法学部法律学科)大学在学中に英検1級に独学で合格。
その後、英会話スクールにて、幼児クラスから、小学生向けクラス、そして、高校生・社会人クラスと一通り担当。
独学で英語をマスターし他経験、指導経験から、学習者としての視点と指導者としての視点双方から発信しています。
【資格およびスキル等】
・英検1級・法律英語
・スペイン語、イタリア語、インドネシア語会話(まだ初級~中級レベル)