早期英語学習は必要なのか?メリットとデメリットとは?
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”英語は世界の共通語“ 今さら言及することでもありませんね。
しかも今は、グローバリゼーションという言葉が当たり前のように飛び交っています。
逆に、先進国であるはずの日本の共通語が英語でないことに疑問を持つ方がいても不思議ではないかもしれません。
「英語が母国語である国に生まれていれば、こんなに苦労する必要ないのになあ。」
こんな声が、あちらこちらで聞こえてきそうです。
「だからこそ、せめて自分の子供にだけは苦労させたくない!」
そのような思いをされている親御様に向けての、”早期英語学習”について。
メリットやデメリットも併せてお伝えします。
早期英語学習のメリットとデメリット
今注目される “早期英語学習”、または“早期英語教育”を意識する方が増えています。
その風潮の中、少しでも早く英語を身につけさせようと、あれやこれやと奮闘される親御さんが多いのではないでしょうか?
お子さまが言葉を発する前から、または胎児の時から英語に触れさせている方も珍しくはありませんね。
一方で、母国語も覚えていないうちから他言語を覚えさせるなんてもっての外!と、お考えの方もいらっしゃいますよね。
結論から言うと、どちらの考え方や意見も間違いではないです。
親の考え一つというのが一般論と言えます。
しかし、今回はどのような考えであれ、今話題になっている早期英語学習についてメリットやデメリットを交えながらお伝えしていきます。
メリット~バイリンガルの子供のIQ指数~
カナダのビールとランバードという学者の面白い実験報告があります。
英語あるいはフランス語しか話せないモノリンガルの10歳の子供と、幼少期から2か国語を学んだバイリンガルの同じ年齢の子供のIQをサンプリングして比較した結果、IQ指数が高かったのは、バイリンガルの子供だったということです。
しかも、生まれてからある年齢までは、いくらでも同時に他言語を取得できてしまうという恐るべき研究結果が出されています。
次章で「大脳生理学」という学問についてご紹介しますが、早期英語(言語)学習にはメリットが多いにあると言えます。
デメリット
幼少期から母国語以外に他言語(この場合は英語)を同時に身に付けると、IQ値もアップするのであれば、早期英語学習はメリットだらけと思われた方が殆どではないかと思います。
しかし、早期学習にもデメリットがないわけではありません。
それは、子供が母国語(日本語)以外の言葉に拒否反応を示してしまう恐れがあるかもしれないといった、精神面の懸念です。
英語に触れ始める年齢や時期にもよりますが、今までずっと日本語の環境で何の不快感もなかったのに、急に耳にしたことがない音が聞こえた時、楽しい面白いと感じてくれればいいのですが、怖い、つまらない、イライラに発展してしまう可能性も考えられます。
ということは早期英語学習はやっぱりデメリット、マイナスでしかない!
そう思ってしまうかもしれませんね。
しかし負の面ばかりを気にしていても何も始まりません。
次章でお伝えする内容を参考に、明るい未来への道を一緒に歩みましょう。
早期英語教育はいつからがベストなのか?
人間が母国語でない言語をきちんと確実に身につけるには、“タイムリミット”があるようです。
そのタイムリミットは何歳だと思いますか?
答えは10歳頃。
アメリカで究明されてきた脳の仕組みについての学問「大脳生理学」。
これによると、赤ちゃんの脳細胞は増えるのではなく、神経の枝が伸びて絡みあうのだそうです。
それが生まれてから3歳までに60%、6歳までに90%、そして10歳までにほぼ完成してしまうという研究がなされています。
先述のIQ指数とメリットに関連しますが、6歳または10歳頃までであれば、いくつでも外国語を学ぶ回路が開いていくのだそうです。
タイムリミットが10歳と考えると、我が子がバイリンガルやトリリンガルになるのは充分に実現可能ですね。
「うちの子はまだ小さいし、まだまだ大丈夫。じゃあ、いつから始めようかな。」
なんてのんびり構えていないで、今からスタートしてしまいましょう。
これを読んで下さったこの瞬間が、ベストなタイミングです!
母国語以外の習得は早ければ早いほど、先述したデメリットである心配も軽減されます。
脳細胞の絡み合いが完了する前であれば、子供は日本語ではない耳に慣れない違う言語であっても、すんなりと受け入れていけるでしょう。
早期英語学習の効果について
乳幼児は生まれてから(または生まれる前から)言葉を耳で聞き続け、その聞いた(聞こえてきた)音を自分が真似てしゃべるということを繰り返しています。
それは、テレビから聞こえてくる音やパパママの言っていることをオウム返ししていることからも分かりますね。
10歳頃までの子供が、何ヶ国語でも習得可能であることは先述通りです。
この習得に必要な言語回路が備わっているため、聞こえてくる言葉をそのままオウム返しの法則に従って、口から出てくることになるのではないでしょうか。
自分の意思云々は関係なく、聞こえてきた言葉はそのまま勝手に口から発されるでしょう。
英語ネイティブのような正しい自然な発音ができるようになっているのは、先にご紹介した大脳生理学の考え方にも大きく関係していると思われます。
言語回路が開き築かれている間の他言語習得は、この場合は英語を英語として捉えられるようになってしまうのですから、10歳までの他言語学習の取り組みは意義があると言えるでしょう。
一方で、ある程度大人になってから他の言語を学ぼうとすると、様々な事が妨げになり難しくなってしまいます。
例えば文法構造を考えていちいち日本語に訳す。
行って戻っての繰り返しで、結局何をしているのか分からなくなってしまう状態にも陥りがちです。
このようなことからも早期英語学習の効果は大きいです。
まとめ
我が子のために今できることは沢山あります。
英語早期学習はデメリットかメリットか?
いつから始めるのがいいのか?
その効果は?
答えはもうお分かりですね!
人間の生まれた時から10歳までの脳の働きからみても、それは実証済みです。
脳が混乱しないようにまずは母国語をしっかり確立させてから、他言語を学ばせるという流れでも間違いではありません。
しかし脳の言語回路の研究からも、いくつもの言語の同時習得は可能であり、脳が混乱するよりもむしろ、脳の中で言語の交通整備をしてくれるので渋滞や混雑はないと捉えることができます。
一方で、母国語が確立してから次の言語を学ぶことの方が、脳への混乱とお子さまに苦労の連続が待っている可能性が高いのではないでしょうか。
早期英語学習に消極的、または反対のご意見をお持ちの方の心配や懸念が少しでも払拭できればと思います。
総合的にも、早期英語学習はメリットの方が断然大きいのですから。
最後に。
一番大切なことは、お子さまが楽しく英語を習得していくことです。
親御さんが熱心すぎるあまりにお子さまに押し付け、しまいには早期英語学習を自分の中で義務化するのは逆効果です。
それが悪化して親子関係がギクシャクしてしまっては、本末転倒ですよね。
また、他人と比較することに重点を置き始めたら、自然な英語習得はできなくなります。
何のためにお子さまに英語を身につけさせたいのか。
このことをもう一度見つめ直し、個々のペースで進めることが長続きと成功のコツです。
焦らない気持ちと楽しい感覚で取り組むことが、言語回路をより豊かに開かせ、言語習得効果をさらにアップさせることでしょう。
参考書籍:
・いずみ書房 / なかはらじゅん著
「新・子供英語革命 子供は語学の天才!」
→オンラインでも読むことができます。
・https://www.izumishobo.co.jp/onlinebook/c03_tensai.html
→東大の脳研究者 池谷裕二先生がコメントしているもの
・https://www.kdi.ac/column/20181128-early-english-education.html