小学生向け英検®3級対策[文法編part.4(関係代名詞)]
第4回目です。
前回の記事を読んでいない方は、まずそちらをどうぞ。
この記事は、現役の英会話スクール講師が「小学生でもわかりやすい」を目標に英文法を紹介するものです。
今書店で買える文法書の多くは中学生以上向けで、漢字や文法用語がふんだんに使われており、子供1人で勉強をするには難しいことでしょう。
学校や中学校でどんどん内容が難しくなってきている英語という科目を、予備知識なしで独学するには大変な根気とやる気が必要だからです。
残念ながら多くの小学生にとって、英語に対してそれほどのモチベーションはありません。
かといって保護者の方がつきっきりで教える、ということは時間的にも難しいでしょうし、大抵思春期に入ってきている子供と親は口論になります。
この記事の目標は、子供が自力で英語の教科書を使って学べるようになるための予備知識をつけることです。
そのため、極力文法用語を使わずに3級の英文法をご紹介します。是非お子様と一緒にご覧ください。
後半に練習問題を付け加えます。知識の定着にお役立て下さい。
関係代名詞とは
“I have a friend who lives in Kyoto.” 私の友だちは京都に住んでいます。
“The mountain which we climbed yesterday was Mt. Fuji.” 昨日私たちが登った山は富士山です。
“The cat that I saw was black.” 私が見た猫は黒猫でした。
“She has a sister who teaches English.” 彼女は英語を教えている姉がいます。
“The ring which my wife liked the best was very expensive.” 私の妻が気に入っている指輪はとても高かったです。
“He is the man I met yesterday.” 彼は昨日私が出会った男性です。
“I have a friend.” 私には友だちがいます。
“He is a doctor.” 彼は医者なんです。
上の文を見てください。
意味はわかりますが、続けて読むとちょっと変な感じがしますよね?
学芸会のセリフのような、なんというか、少々違和感があります。
ふつうは「友だちは医者なんです」ってシンプルにいいますよね。
“My friend is a doctor.”
と言っても良いのですが、別の言い方もできます。
“I have a friend who is a doctor.”
“who”というのは、「だれ?」という意味ですよね。
「私には友だちがいます、誰かと言うと…彼は医者なんです」
このように、今までは文の先頭でしか使わないと思っていた”who”や”which”は文の真ん中でも使い、2つの文を1つにくっつけてくれます。
そして“who”の前の言葉を補足説明してくれるんですね。
話しながら、思いついた情報を後から付け足していくイメージです。
“The mountain which we climbed yesterday was Mt. Fuji.”
この文も一見ややこしそうです。
あれ? 1文には動詞は1つと習ったのに「登る」”climb”とbe動詞の”was”があるのはなんでだろう…と思ったあなたはするどいです。
それは2つの文を、”which”を使って1つにくっつけているから。
元は2つの文だったから動詞が2個残っているんです。
このままだと読みにくいので、( )をつけてみましょう。
“The mountain (which we climbed yesterday) was Mt. Fuji.”
どうでしょうか。
これで、
“The mountain was Mt. Fuji.” その山は富士山です。
“which we climbed yesterday.” 私たちが昨日登りました。
という2つの文に分かれているなと気づけますね。
“which”と動詞を目印にして、( )をつけると、意味がわかりやすくなります。
“which we climbed yesterday.”
は直前にある”The mountain”を説明してくれています。
このように、2つの文を1つにまとめることができる”who”や”which”のことを関係代名詞と言います。
“She has a sister who teaches English.”
“The ring which my wife liked the best was very expensive.”
また、説明を加えたい言葉が「人」なら”who”を使い、「人以外」なら”which”を使います。
“who”は「だれ?」”which”は「どれ?」という意味があるので、そう考えると使い分けは覚えやすいですね。
他にも“that”を使って2文を1文にまとめることができたりと省略できたりと、応用は多く難しいです。
まずは”who”と”which”に慣れるところから始めましょう。
今回登場した文法用語なのですが、できたら覚えるくらいで最初は問題ないです。
大事なことは、使うとどういう意味になるのか、どのようなときに使わないといけないのか、ルールを知ることです。
あとはたくさん練習をして、完全に定着させていきましょう。
実際に問題を解いてみよう!
では、実際に問題を解いてみましょう。指示された英文を書き直してみましょう。
日本語にも直してみましょう。
(1) Mr. Tanaka is a teacher. He knows a lot of interesting stories.
[関係代名詞(who, which)を使って1文にまとめましょう]
(2) Kate is a girl. She likes music.
[関係代名詞(who, which)を使って1文にまとめましょう]
(3) This is a photo. My father took it last year.
[関係代名詞(who, which)を使って1文にまとめましょう]
(4) This tower is famous. It was built 200 years ago.
[関係代名詞(who, which)を使って1文にまとめましょう]
(5) This is the restaurant. It is my favorite.
[関係代名詞(who, which)を使って1文にまとめましょう]
(6) My aunt is a writer. She travels around the world.
[関係代名詞(who, which)を使って1文にまとめましょう]
(7) I have a friend. She can speak English.
[関係代名詞(who, which)を使って1文にまとめましょう]
(8) This is a movie. It makes people angry.
[関係代名詞(who, which)を使って1文にまとめましょう]
(9) I like the movie. Ken is watching it now.
[関係代名詞(who, which)を使って1文にまとめましょう]
(10) This is the DVD. My brother gave it to me.
[関係代名詞(who, which)を使って1文にまとめましょう]
(11) Do you know the woman? She is talking to Mika.
[関係代名詞(who, which)を使って1文にまとめましょう]
(12) This is the man. I met him yesterday at the hospital.
[関係代名詞(who, which)を使って1文にまとめましょう]
[解答]
(1) Mr. Tanaka is a teacher who knows a lot of interesting stories.
田中先生は面白い話をたくさん知っています。
(2) Kate is a girl who likes music.
ケイトは音楽が好きな女の子です。
(3) This is a photo which my father took last year.
これは去年父が撮った写真です。
※”it” はなくなります。“which”がその代わりをしてくれるからです。
(4) This tower is famous which was built 200 years ago.
この有名な塔は200年前に建てられました。
(5) This is the restaurant which is my favorite.
これは私のお気に入りのレストランです。
(6) My aunt is a writer who travels around the world.
私の叔母は世界中を旅する作家です。
(7) I have a friend who can speak English.
私には英語を話せる友人がいます。
(8) This is a movie which makes people angry.
これは人々を怒らせる映画です。
(9) I like the movie which Ken is watching now.
私は、ケンが今見ている映画が好きです。
※”it” はなくなります。“which”がその代わりをしてくれるからです。
(10) This is the DVD which my brother gave to me.
これは兄が私にくれたDVDです。
※”it” はなくなります。“which”がその代わりをしてくれるからです。
(11) Do you know the woman who is talking to Mika?
ミカと話している女性を知っていますか?
(12) This is the man who I met yesterday at the hospital.
こちらが昨日、病院で会った男性です。
いかがでしたか?
なれてくれば、きっと良い点がとれるようになります。
また数日後に同じ問題を解いてみましょう。復習が大切です。
最後に
今まで述べてきたことをまとめると、
・”who”や”which”などを使って2文を1文にまとめられる
・( )をつけることでわかりやすくなる
・直前の言葉が、人なら”who”、そうでなければ”which”
の3点です。
かなりかいつまんで紹介したため、説明しきれていない部分もあることでしょうが、それは次回以降で補填できればと考えております。
関係代名詞のルールは複雑で、英検®3級で出題されるだけでなく中学3年生定期テストの山場でもあります。
高校生になると応用や関係副詞なども習い、大学入試では頻出です。
小学生のうちから将来の負担を軽減するべく前倒しできると良いでしょう。
先行詞による関係詞の使い分け、主格、所有格、目的格の見分け方など中学高校では文法用語と合わせて事細かに習います。
しかし、英語をある程度読めるようになってきた小学生相手にそのような細かい知識やルールを押し付けるよりも、まずは自力で学習できるような下地を作ってあげるのが、保護者や教師を始めとする周りの大人達の役割なのではと考えております。
しっかりと努力し勉強すれば、小学生でも中学生レベルの文法事項を理解することは決して不可能な目標ではありません。
その学習意欲を維持するためにも、英検®は良い選択肢であると思います。
この記事が、少しでも多くの英語学習者や保護者の方々の役に立てば幸いです。
英検®は、公益財団法人 日本英語検定協会の登録商標です。
このコンテンツは、公益財団法人 日本英語検定協会の承認や推奨、その他の検討を受けたものではありません。
さびねこ
【自己紹介】
英検1級取得後、英語講師を経て、フリーランスで翻訳・ライティング業務を行う。
【英語力・指導経験】
都内の大学(法学部法律学科)大学在学中に英検1級に独学で合格。その後、英会話スクールにて、幼児クラスから、小学生向けクラス、そして、高校生・社会人クラスと一通り担当。独学で英語をマスターし他経験、指導経験から、学習者としての視点と指導者としての視点双方から発信しています。
【資格およびスキル等】
・英検1級・法律英語
・スペイン語、イタリア語、インドネシア語会話(まだ初級~中級レベル)