小学校低学年から英語を始めるべき?何から始める?
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小学校5年生から英語の授業化が始まることとなり、低学年のお子さまを持つ保護者の皆様が、低学年から英語学習を始めるかどうかについて悩んでいるようです。
そこで今回は、小学校低学年から英語を始めた方がよいのか考えてみたいと思います。また、始めるとした場合どのようなことから始めるのがよいのか、いくつかのアイデアをご紹介したいと思います。
以下のような方に読んで頂きたい記事です。
・小学校低学年のうちから英語を始めた方がいいか迷っている
・低学年のうちから英語を始める際のポイントを知りたい
・始める場合どんなことから始めればいいのか分からない
低学年から始めるべきなのか
アジア諸国の英語教育についてお話しした際にもご紹介した記事ですが、以下の記事の中に、ETSの現取締役副社長兼最高執行責任者であるデヴィッド・ハント氏の発言が引用されています。
その発言とは、英語教育が発展する国の条件について述べたもので、氏はその条件の一つとして「早期から始めること」を挙げているのです。
参考:https://berd.benesse.jp/global/opinion/index2.php?id=2554
英語圏以外で高い英語力を有している人の割合が多い国は、小学校低学年の頃から良質の英語教育を受けている場合が多いというのは事実です。
日本では小学3年生から英語学習が学校で始まりますが、それよりも早い段階で英語に触れ始めることには大きな意義があります。
早期に英語を始めることへの反対意見として多いのは、「日本語力をつけるのが先」という意見でしょう。
読解力をはじめとした国語力や、言語能力が外国語の習得スピードに影響することは確かです。第2外国語では母語の語彙以上の語彙は習得できないとも言われています。
このように、母語である日本語の力をつけることももちろん大切です。
しかし、そのことをもって英語の早期学習がマイナスになるという根拠にはなりません。家庭で完全に英語で生活するというのでもない限り、どちらの言語も中途半端になってしまう、いわゆる「セミリンガル」の問題を心配する必要はないと思いますので、そこは安心して英語学習を始めさせてあげてください。
しかし、この後お話しするように、興味がないものを無理強いしてしまうとその後の英語学習良くない影響が出かねませんので、そこは注意が必要です。どのように英語に親しませるかという点がこの時期では特に大切なのです。
低学年から英語を始める場合のポイント
「遊び」として英語に触れる
言い換えれば、「押しつけない」、「無理にやらせない」、ということですね。
例え遊びとしてでも、気が乗らないのにやらせればそれは強制になってしまいます。
例えば、楽しみながら英語に親しめるからという理由でゲームをとりいれたとします。毎日「30分はこのゲームで遊ぶ」などと「ノルマ化」してしまうようなことは避けてほしいと思います。
せっかく早く学び始めたのに、嫌いになってしまったのでは本末転倒だからです。
海外文化に興味を持てるようにする
英語を学ぶというと、英会話の教材を買って単語や文法を学ぶことやリスニング力をつけることイメージ、がちですが、これはあまり好ましくありません。
言語はコミュニケーション、言葉や文化の異なる人たちと交流する手段ですので、相手の文化や価値観を尊重し合うことを学ぶことも大切です。特に慣用句などは、文化的な背景の理解抜きには理解して使いこなす力をつけるのは難しい。
英語を覚えることだけではなく、子供が使える英語を身につけるためにも海外文化自体に興味を持つような工夫が大切です。
何から始めればいいのか
では低学年から始める場合何から始めるのがよいのでしょうか。いくつかのアイデアと共に、何を使うのが効果的なのかも併せてご紹介します。
物の名前を英語で覚える
言葉を覚える時に、最初の一歩として一番簡単なのは物の名前、すなわち名詞を覚えることではないでしょうか。英語学習でも同じことが言えます。
特に英語に興味を持ち始めた子供であれば、「○○は英語でなんていうの?」というのが定番の質問になるくらい自然と関心が向くのが、物の呼び方です。
これには、カードゲームやフラッシュカードをうまく活用するのがおすすめです。
名詞を覚えるためのカードゲームのうち、やさしいものとしては以下のようなものがあります。
『Catch the chicken English Card Game Noun Easy』
『Prodish』、『Foodish』、『Zooish』
また、簡単な名詞を覚えるためのフラッシュカーとしては、「トレンド(Trend Enterprises)」から出ているフラッシュカードシリーズのうち『Picture Words』などがあります。いずれもAmazonなどの大手通販サイトで購入可能です。
挨拶や自己紹介その他簡単なフレーズを覚える
挨拶や自己紹介の仕方、あるいは返事の仕方などのごく簡単なフレーズから学ぶのも良い方法です。
これは、中学年から始まる「外国語活動」のために役立つという理由からだけではありません。こういった挨拶や相槌などのフレーズであれば、文法のルールを知らなくても覚えることができるからです。
そしてこうしたものであれば、使う機会も多く、自然と口をついて出てくるまでに習熟してしまう可能性が高いのです。
これには、DVDなどの子供向け英会話の教材が最適です。低年齢の子供の英語学習用の動画なども探せばたくさんありますのでそれらを活用するのが良いでしょう。
お勧めは、「授業・レッスン」のような形をとらないもの、いいかえればエンターテイメント性のある内容。アニメなどのストーリーを追いながら気が付いたら覚えていたというのが理想です。
同じような意味で、歌を使って覚えるのも低学年のお子さまには特におすすめです。アルファベットの読み方を学んでいないという理由の他に、文字で学ぶよりも先に音楽や映像で耳から学ぶことによって英語特有の音に先入観なしに触れることができるというメリットもあるからです。
以前の記事でもご紹介した『KIDS MART』は子供向けの英語教材を多数扱っているサイトなので、こうした映像や音声の教材を探す際にはおすすめです。
KIDS MART
→https://www.kidsmart.jp
使ってみる
覚えた単語やフレーズを使ってみる体験をさせてあげることは、成功体験にも繋がるため、ここで言う「使ってみる」とは、実際に英語を話す人を相手に、コミュニケーションをとることを指します。単に声に出して言ってみることから一歩進んだ状態です。
「声に出してみる」ことが第一関門だとすると、「使ってみる」ことは次の大きなハードルと言えるかもしれません。
例えば、挨拶を声に出して言うことに慣れても、実際に誰かに対して使うのは恥ずかしい、緊張するというのは、大人の学習者であっても多く見られる傾向です。
使ってみることへのハードルはが高くなる前に、小学校低学年のような早期からこれを体験しているといないとでは大きな差がつきます。
少ない語彙でも相手に伝えようとする、聞き取りがうまくできなくても理解しようとする、身ぶりや相手の表情を頼りにコミュニケーションを図る、コミュニケーションとは言語以外の部分の要素もたくさんあります。ですから、こうしたことはプラスにこそなれ、マイナスになることはありません。
間違えることへの抵抗は年齢が高い子供や大人よりもずっと少ないため、ある意味良いチャンスなのです。
間違えてもどんどん使っていくのがいいことなんだと早期から知っておくことが、それ以後の英語学習を加速させる原動力となります。
国際交流系のワークショップや他文化の体験型イベント、海外のフードフェスティバルなどが最適な場所でした。
しかし、残念ながら、コロナ下もあり場所を活用することは難しい状況です。また、同じ理由で英会話スクールの体験レッスンなどへの参加も気軽にはできない状況です。
オンライン英会話はどんな時にも、英語を使う体験はできますので、自宅で活用してみてください。
また、外国人の友人や知人がいるのであれば、ZOOM等を利用して一緒に英語を使う機会を作って通じた成功体験やまた話したいと思える機会を演出してみてくださいね。
英語の動画を観てみる
「使ってみる」には、話す以外にも色々あります。英語で情報に触れるというのも英語を使ってみるということになります。おすすめなのは、YouTubeなどで英語圏の人が投稿した動画を観るということです。英語の動画を見て挨拶のフレーズや物の名前を指す単語が聞き取れたというのも立派な成果です。
動画には以下のようなメリットがあります。
・視覚、聴覚で英語に触れることができる
・正しい音を聴くことができる
・興味のある分野が見つかる
・無料で楽しめる
・短いものが多いので飽きない
おすすめなのは、英語学習チャンネル以外の海外動画です。興味のあるモノ、分野の動画を英語の動画の中から探すという感じです。例えばサッカーが好きなのであればスポーツ中継。好きなアニメを英語で解説しているサイトなど。もちろんこの年齢では完璧に聞き取れるようにする必要などまったくありません。
さいごに
小学校低学年のうちから英語を始めることで、外国語活動にも5年生からの授業にも抵抗なく馴染むことができるはずです。
好奇心から知識を吸収できる時期。興味を引くような方法を色々試して英語に親しめるようにしてあげましょう。