イスラエル人は英語がペラペラ?!現地駐在員がその実態に迫る!

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読者のみなさんは、「イスラエル」に対してどんなイメージをお持ちでしょうか。
ニュースやメディアで目にする情報では、「イスラエル=戦争の国」という印象が強いかと思います。
今回の記事では、現地で暮らす人々の英語力という視点からイスラエルに切り込んでいきたいと思います!
現地駐在員から見たイスラエル人の英語力とは?!
イスラエルの公用語は「ヘブライ語」なのに、なぜ英語が通じるの?

単刀直入に述べますと、イスラエルでは英語ができれば全く問題なく暮らせます。
特に、テルアビブという経済的な首都では、筆者の体感では八割近い人が英語を話せます。
【イスラエル基本情報】
1948年に建国。
地中海に面し、レバノン、シリア、ヨルダン、エジプトと接しています。
国土面積は日本の四国程度の大きさで、人口はおよそ1000万人。
そのうち97万人がエルサレム、47万人がテルアビブという都市圏で暮らしています。
なぜイスラエルの人々は流暢に英語を話せるのか
2025年現在イスラエルの公用語は「ヘブライ語」です。
ユダヤ教のヘブライ語聖書に基づく言語で、中東で唯一、ひいては世界でただ一つ、イスラエルのみがヘブライ語を母国語とする国です。
このように中東の小国であるイスラエルですが、都市圏で暮らしていると、驚くほど流暢に英語を話せる人ばかり。
英語とヘブライ語のバイリンガルの人がたくさんいるのです。
その実態と理由について、詳しく解説していきます!
理由1.「移民で構成された多国籍国家・イスラエル」
先述のとおり、イスラエル建国は1948年ですので、国の歴史としてはまだ「新しい国」。
現在この国で暮らす「イスラエル人」とは誰のことなのでしょう?
その歴史をひも解くと、「ユダヤ人のディアスポラ(祖国を離れて世界中に離散すること)」と、「アリヤー(イスラエルへの帰還)」が深く結びついています。
ローマ帝国時代から、自分たちの土地を追われたユダヤ人。その人々が19世紀後半以降、活発に祖国への帰還(=アリヤ―)を開始しました。
移民たちのルーツは、以下のようにバラエティー豊かです。
- ホロコーストの生存者(ポーランド系)
- 旧ソ連(ロシア・ウクライナ系)
- エチオピア
- フランス(反ユダヤ主義の影響)
- アラブ諸国(イラク、モロッコ、北アフリカ)
- ブラジル、アルゼンチン
さらに、イスラエルに戻ってこないものの、移住先の国で大きなユダヤ人コミュニティを形成している地域もあります(アメリカ、イギリスなど)。
これだけ様々な移民で構成されている国ですので、共通言語として「ヘブライ語」が存在するものの、家庭で話す言語はロシア語だったり、移民同士が結婚して英語で会話したり。
マルチリンガルな言語環境で育っている人が多いのです!
理由2. 「徴兵制度ーイスラエル国防軍(IDF)の影響」
イスラエルでは原則、男女とも18歳になると(高校卒業と同時に)イスラエル国防軍での徴兵義務があります。
男性は約3年、女性は2年。
超正統派など一部免除対象もいますが、基本的には国民皆兵制度に則ります。
IDFの超エリート集団と言われているのが軍事情報局(The Military Intelligence Directorate)。
いわゆる諜報・サイバー部隊で、通信傍受をして軍事機密情報を得たり、サイバー攻撃やハッキング、またはその防御など、あらゆる最先端テクノロジーを駆使して国防に尽くす特殊部隊です。
こうしたエリート部隊に配属される人たちは、プログラミングや数学の知識とともに、高い英語力も必須。
ここで研鑽を積み、その後も空軍で活躍したり、自分で起業してスタートアップ企業を作ったり、イスラエルのテクノロジー産業、そして経済もけん引していく存在となっていくのです。
イスラエル人の友人曰く、徴兵期間中に配属される部署やそこで得たスキルで、その後の人生で成功できるかどうかもかかっている、とのこと。
18才から2~3年、進学すれば学生時代を謳歌する年頃ですが、軍事オペレーションに携わることで高い語学力やITスキルを身につけるイスラエル人の若者がたくさんいるのです。
理由3.「英語教育のゴール=実践的コミュニケーション能力」
さて、ここからはイスラエル国内の英語教育事情をご紹介します。
英語の授業が始まるのは、小学校3年生から。
英語教育カリキュラムによると、小学校卒業時点で目指す英語レベルは、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)の A1レベルです。
【CEFR A1レベルの特徴】
- 身近で日常的な表現や基本的なフレーズを理解し、使用できる。
- 自分や家族、生活環境、基本的なニーズに関する簡単な質問と答えができる。
- ゆっくりはっきり話してもらえれば、簡単な会話に対応できる。
また、小学校卒業時点での語彙目標としては、 1,200語の受容語彙(リスニング・リーディングで理解できる語彙)、1,000語の生産語彙(話したり書いたりできる語彙)の習得を目指しています。
詳しい語彙力バンドはこちら。
文法スキルバンドの資料から例をあげると、以下のようなフレーズが小学校高学年で使えるようになる文法レベルです。
- I just saw the most beautiful bird flying by my window. This is the most comfortable chair in the house.
- [It’s time we got together. When can you meet me?] I can meet you on Monday at 4:00 pm. We can go to the shops together.
- [Hasan’s mother asked him to go shopping for her yesterday.] He went to the shop, but he didn’t/did not bring the shopping list. He didn’t/did not forget anything on the list.
このレベルの英語は英検3級から準2級に相当します。
日本の中学校3年生~高校1年生程度の英語力を、小学校卒業時までに獲得させるレベルでの英語教育が実践されているのです。
高校卒業時の目標はB2(ビジネス英語)です。
その後の徴兵→大学進学や企業と繋がっていくにあたり、英語力が高い人ほど素晴らしいキャリアを築ける可能性も広がるのです。
あくまで【教育目標】ですので、全員がこのレベルに達しているわけではありません。
しかし、若い世代を中心に日常会話程度ならスラスラと英語が話せる人が多いのは、やはり教育のあり方の影響が大きいのだろうと感じます。
ちなみに、イスラエルの小学校(~高校)では13時頃には下校、自宅で昼食をとるのが普通です。
日本と比較して圧倒的に短い学校生活ですが、英語教育の側面を見ても、その中身の充実度が伺えます。
「量より質」重視!なのかもしれません。
まとめ

今回の記事では、イスラエル(特に都市圏)で広く英語が通じる理由について解説しました。
移民国家である影響はもちろん、学校教育、そしてその後の徴兵制度や企業など、様々な要因があります。
一方、英語が通じないところ(ロシア系スーパーや地元のマーケット)があるのもまた事実。
また宗教色が強いコミュニティでは英語は教えられていないため、大人でも話せない人もいます。
職業によっては高い語学力が必要ない点は、世界共通です。
多国籍企業に在籍する非常にリベラルな人から、宗教と伝統を重んじる保守派まで、多種多様な価値観を持つ人が集まる国・イスラエル。
そんな国際色豊かな国という側面が、少しでも伝わる記事となっていたら幸いです。
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