「ポジティブ途上国」

African-Boy(大学生)

African-Boy

 私は排気ガスのにおいが好きだ。途上国を訪れたとき、空港から外に出ると思わず手で口を覆いたくなることがある。市内に出ても同じことが言えるが、町中に排気ガスのにおいが充満していてとにかく臭い。しかし、私にとってはこれがすごく魅力的に感じている。なぜなら、このにおいから「これからもっと豊かになっていくぞ」というメッセージを感じるからだ。グローバル化社会と呼ばれるようになった昨今、先進国の企業や投資家が途上国へ目を向けるようになり、次々と進出してきている。それに伴い、新たなビルが建てられ、そこからでる排気ガスを彼らは吸いながら生活している。先進国の人間からすればうんざりしてしまう環境かもしれないが彼らは違う。やっと巡ってきたチャンスだと言わんばかりに、排気ガスに包まれながら生活していることなど気にも留めず次々とそのチャンスに飛び込む。残念ながら日本では排気ガスに包まれながら生活をするということはまずありえない。私は彼らがすごくたくましく見える。そしてすごくまぶしく見える。私は途上国を訪れるたびにこう思う。もっと彼らと同じ目線で世の中を見たい。  2年前の夏、私は大学入学後最初の夏休みにアフリカのケニアという国にいた。一人で海外旅行をするのは初めてで、期待と不安でいっぱいだったのを覚えている。大学で開発学を専攻しているということもあり、途上国に行くことに関心があったが、友人がルワンダ人と結婚するということで、ルワンダで行われる結婚式に参加することになったのがアフリカ渡航のきっかけである。また、アフリカは陸路で国境を渡ることができることやサファリで大自然の中に生きる野生動物を見ることができるなど、日本ではできない体験に心を魅かれケニア、ウガンダへも行こうと思ったことがケニア行きまでの経緯である。この文章を読んで下さっている方々は「アフリカ」というとどういった印象を持つだろうか。“貧困”や“紛争”など、多くの日本人にとってはメディアを通して得る情報などから”アフリカは危ないところ”という印象を持つ人が多いと思う。確かに海外は日本では考えられないような犯罪が起こってしまうこともあるが、それはあくまでも一部のエリアであるということが多く、自分で調べればリスクを避けることもできる。実際、今アフリカは成長過程にあって、特に都市部の発展は著しい。しかし、多くの人は与えられた情報だけでその国のイメージを作り上げてしまっている。私はそのことがすごく悲しかった。新たな土地を訪れると自分たちの考えがいかに偏見に満ちているかということに気づかされる。そこで、途上国の悪いイメージを変えていきたいと思い、自分の体験を様々な種類のコンテストで発表することや付き合いのあるNGOでイベントを企画するなどし、自分の考えを表現できる場をつくると同時にビジネスというレベルでそれをできる場がないかと模索していた。そんな中、数ヶ月前に語学留学でフィリピンのセブ島を訪れたが、そこでの出来事が私にとってもの凄く面白いものであった。セブ島といえば、昔からリゾート地として知られているため、途上国のなかでは比較的行きやすい場所でもある。また最近では授業料の安さなどから語学留学を目的にやってくる人たちも増えている。一方でフィリピンの経済水準は低く、物質的な貧しさから犯罪を犯す人もいる。そういった理由からフィリピン行きをためらう人や、留学説明会でも必ずと言っていいほど治安に関する内容の質問が多数出る。しかし、フィリピンに限らず途上国に行った人には理解してもらえるだろうが、途上国を歩く上でのルールをわきまえていれば怖さを感じることはほとんどない。もちろんそのルールは留学初日のガイダンスで教えてくれる。私の周りでも、初めて途上国を訪れるという生徒も多かったが、日本へ帰る頃にはフィリピンへのイメージはポジティブなものになっていた。やはり現地に足を運んでみることで初めてその土地の良さが分かるのだと思った。しかし、充実したセブ生活を送るために重要な役割を果たしていたのは語学学校の先生たちであったに違いなかった。彼女たちの仕事に取り組む姿勢や気さくな人柄は私たちのフィリピン人の印象をより良いものにした。再びフィリピンを訪れてみたいと思った人も少なくないと思う。フィリピンを再び訪れれば現地にお金が落ち、その分現地の人たちの生活も豊かになる。彼女たちの果たしている役割はただ英語を教えるというだけではなく、先生と生徒との人間関係を通してフィリピンのファンを作ることでもあった。フィリピンでの学校経営は一国の国づくりに大きな影響を与えていた。私もその土地に合ったやり方を見つけ、途上国の国づくりの手助けをできる人になりたい。そして自分の観た素晴らしいものを多くの人と分かち合いたい。だから私は世界を目指す。

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