えー、暫くの間お付き合い願います。私は現在、大学2回生で落語をしています。昔から「お笑い」が大好きでした。私が考える「笑い」とは人が笑うことで、また笑わせることで沢山の健康・幸福が生まれ広がっていく、人間の素敵な部分だと思います。
しかし、そんな「笑い」が私にとって苦痛となった日がありました。1年ほど前、アメリカへ海外旅行に行った際に、スタンダップコメディーを見に行きました。そこでは多くの人がコメディアンの言う冗談に腹を抱えて笑います。しかし私は全く笑うことができませんでした。言葉の壁です。そこでは私以外の人間は楽しそうに笑っているのに、私は言葉が理解できないために笑えない。ただ私一人だけが言葉が理解できず、面白さも理解できないからといってブスッと突っ立ていたのでは周りの空気を壊してしまう。そう考えた私は、2時間30分終始、さも楽しく聞いてますよとでもいうかのように笑みを顔に作っていました。悔しかったです。
この経験から私は、英語を真剣に勉強しだしました。1年間の勉強の成果により、拙いながらも英語を聞き取れ喋れるようになった私は、落語を外国人に英語で演じ、笑いをとれるようになりました。文化の違いや、宗教や国によって扱えるジョークは変わりますが、外国人に対して笑いをとれる、という事実に満足していました。最近までは。
英語落語を通じて、英語が聞き取れる人を笑わせれるようになったのは良かったのですが、英語が聞き取れない国の人からすれば、私が1年前に感じた「笑いの孤独感」に苛まれてしまうのでないかということです。このままではダメだと分かっていながら、既存の笑いの形でしか人を笑わすことができない。そんな自分にまた悔しさを感じていた時に、私はある人物と出会いました。マイケルジャクソンです。彼は日本語の曲を歌っていません。もちろん中国語・韓国語・タガログ語・スペイン語...も使わず、英語がメインです。しかし今、彼のことを知らないという人間はいません。どこの国にいっても、マイケルジャクソンといえば「King of Pop」として知られています。それは彼が、言葉と動作を上手く融合させた演出が出来ていたからだと私は考えます。言葉は歌を通して英語で発音し、動作はダンスで見る人々を魅了する。つまり観客の聴覚と視覚を確実に掴んでいたのです。
私は、マイケルジャクソンのように人種・宗教・言葉関係なく人々を魅了できるようなコメディアンになりたいと思っています。そのためにはより一層の語学力の向上と共に、「動作」の向上が必要です。「言葉」の技術には落語をベースとし「動作」の技術にはクラウニングをベースとしていこうと考えています。クラウニングとはクラウン(ピエロ)の技術のことで言葉を必要とせずに人々を楽しませる芸のことです。しかしこれらの芸の習得には日本国内で完成させるには不十分であり、未完成です。よって本場のヨーロッパや、ロシアに習いにいきたいです。これが私が今回このコンテストに応募した理由です。
「言葉の技術」と「動作の技術」の融合により、世界中を爆笑させることが出来る人間となることを誓います。