「真の自由」

ジョンレオン(学生)

ジョンレオン

 車というのは、人類最大の発明ではないだろうか? どんな人でも、ハンドルを握ってアクセルを踏むという基本操作だけで、燃料の限りどこまでも進んで行く。自分の人生を振り返って、印象に残る二つのドライブがある。一つ目は、ベトナムでのスクーターによるドライブ。地平線の果てまで続く、無機質だが美しい異国のハイウェイ、全身を包むアジアの熱風、そんな中を隕石のようにかっ飛ばした。二つ目は、北海道横断の自動車でのドライブ。パノラマの原野にサっと引かれたアスファルトの上、緑のエネルギーを掻き分けて最果てまで突き進んだ。これらの経験を通して僕は、「自由」という感覚を知った。
 車は僕に経済的な自由も与えてくれた。僕の子供のころ、父は中古車ディーラーだった。海外に向けて日本のすばらしい自動車たちを輸出していた。父は英語のホームページで顧客を獲得し、毎年たくさんの外国人たちが父をおとずれた。国籍の異なる様々な人種といつも英語で話していた。僕は英語が世界共通語であること、あらゆる障壁を取り払う自由な言語であることを知った。商売の蓄えで、僕は幸運にも大学まで進学できた。大学進学後2年間続けた引越し屋のバイトでも、運送業の中で車がお金を稼ぐ様を見てきた。バイト代で様々な国を旅した。英語は、僕に旅先で様々な人と関わる機会を与えてくれた。
 自由とは、僕が最も崇高で美しいと思う概念だ。「真の自由」を達成することが、僕を含めた多くの人の人生目標である。「車」、そして「英語」はいままでの僕の人生における色々な自由を与えてくれた神聖な道具だ。そして、その神器のすばらしい使い道の一つが「旅行」であると僕は信じている。誰にも邪魔をされず、気の向くままに、一度もいった事のない場所にいく。移ろう光景に一体化し、自由そのものになる。
 今、日本は得体の知れない閉塞間や不安にさいなまれている。自殺率、人口減少率ナンバーワンの秋田に住んでいる僕は強くそう感じる。これは秋田だけの問題ではなく、日本全土での問題だ。ずっと同じ道を進んできて、行き止まってしまった感覚だ。こんな状況を変えるには、新しい何かが必要だ。僕はその「何か」が、海外からの旅行者だと考えている。旅行者たちは、僕たちが忘れがちな日本の魅力を再認識させてくれるのみならず、それらにお金という対価を払ってくれる。僕たちにとっての退屈な日常ですら、外から来た人たちにとっては新鮮な非日常だ。あがいても廃れて行く一方の地方を活性化するためにも、「外」の観光客を呼び込むことは必要不可欠ではないだろうか。
 車は、日本の地方旅行を深く楽しむためのマストアイテムだ。僕の通う大学は山奥にあり、車を持てなかったために秋田をほとんど知ることなく卒業していった学生がたくさんいる。車が無ければ、地方のほとんどの場所に自力で訪れることはできない。どうせなら多くの訪日外国人旅行者たちにも、ツアー等による商品化された他力本願な旅行ではなく、自由な旅を味わってほしい。しかし、外国人が日本旅行中に、自由に運転できる車を入手するのは簡単ではない。日本のほとんどのレンタカー屋において、英語を堪能に喋れるスタッフがいる営業所はごくわずかなのだ。つまり、サービス内容や日本の交通ルールを外国人に対して十分に説明できないのである。その結果、外国人旅行者は日本における運転で事故を起こしやすい。実際に、日本における外国人レンタカー利用者の事故率は、日本人利用者の2倍というデータがある。車の運転とは、多くの人の命が関わっている重大イベントだ。どんなドライバーも実際に車を運転する前に、自分の置かれた状況を詳しく理解したいはずだ。こんな現状では、外国人のドライバーが進んでレンタカーを積極的に借りようなどと思えるはずがない。「それでも借りたい!」という旅行者も、結果的に事故をおこしてしまえば意味が無い。
 こんな状況を変えるべく僕は、外国人旅行者専門のレンタカー会社を設立したいと考えている。僕にとっての「世界を目指す」とは、完全英語対応のレンタカーサービスをまずは僕の地元、北海道から設立し、世界中の人にそのサービスを利用してもらうことだ。僕は、「英語」と「車」が持つ無限の可能性で、この社会に「自由」のポジティブなエネルギーを循環させたいのだ。日本の交通ルール、保険の補償内容、万が一のアフターサービス、そのすべてを主に英語で説明し、お客様一人ひとりにきめ細かな対応をする。各国それぞれの交通ルール差に対応した説明も用意する。こういったおもてなしは、良い評判となり、外国人旅行者の増加につながる。たくさんの外国人観光客が、安心して自由なドライブ旅行を楽しめる。そして彼らが日本の地方を活性化させていく。その実現のためにも僕はまだまだ、全顧客に的確に伝わる英語を深く勉強する必要がある。

QQ English facebook 詳細・応募フォームはこちら