「アメリカに恋して」

マリン

まりん

中学の時の英語の先生が、毎回授業の冒頭に、英語の歌の聞き取りの時間を設けてくれた。最初はただの暗号か、機械音にしか聞こえなかった歌詞が、回数を重ねることで言葉として頭にはいってくる。サウンドからは、想像できないメッセージがこめられていると分かると、胸が熱くなった。それが私が英語が好きになった瞬間だ。私の聞いた音楽はほぼアメリカで有名になったとしり、アメリカのことを調べてるうちに憧れになった。他の国を調べたわけではないけれど、とても強く惹かれたのだ。日本を越える自然もあれば、眠らない大都市もある、そして人々には自由があり、自信もある。英語が出来れば、もっともっとアメリカを知ることができる思った。とにかく英語のテストでクラスで一番になれるよう全力を尽くした。

高校生でやっと夢が叶い、アメリカで2週間ホームステイをした。しかしホストファミリーは、大きくアメリカでホストシスターに連れられていった協会で、私と同い年位の子がたくさんいたのに、Hi.としか言えなかった。ホストファミリーには、どうしたい、何がしたいと聞かれても英語で伝えるのは思った以上に時間がかかる。料理にも「おいしい」しか言えない。自分の会話力の無さにただただ飽きれた。日本の学校の勉強では、読めるようにはなるが話すことは上達しない。中学、高校合わせて6年間も勉強していてなぜ日本人は英語がこんなに出来ないのか。だれも疑問に思わないのだろうか。私は今までのような勉強を続けて、本当に英語を自分の言葉に出来るか不安だった。
しかしホストマザーは私の英語を褒めてくれた。発音じゃない、文法じゃない、英語をはなそうと努力している姿がかっこいいと。もっと自信をもちなさいと。そして「あなたは私の娘」そう囁いてくれた。なんだか気持ちが楽になって、英語への考え方が変わった。ネイティヴの完璧な英語を求めるのをやめて、自分の英語を身につけようと。

大切な人に大切なメッセージを伝えたり、相手のことを理解したいから。これが多くの人が英語を学習する理由だ。私もその一人。もどかしい思いはしたくない。ただ感じる思いをそのまま自分の言葉にしたいのだ。
いま日本でグローバルという言葉をよくみかける。もっと地球規模で行動できる人材を育成するための改革が、進められている証拠だ。私はとてもいい時代に生きているのかもしれない。
自分が努力するのを支えてくれるシステムが整えられているのだ。

マリンという私の名前は、少し英語に近い気がしないだろうか。母が、海外でも誰からでも呼んでもらえるように、世界を舞台に活躍してほしいと、願いをこめたものだ。
私は今、偶然にも母が思い描いた道のうえを歩いている。
何年かかるか分からない、それでも私は勉強を続けたい。そして、日本と海外を結ぶ商社で働きたい。英語は私の一生の恋人。

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