「きっかけをくれた高校時代の先生、ありがとう」

龍美(学生)

龍美

私が世界を目指すわけとは新しい自分の発見と成長、そしてそれを踏まえた上での発信のためである。
 私は高校時代にある英語教師とALTの授業を受けた。それは今まで長文読解やリスニング、文法などの教科書に沿った英語の授業とは異なる、英語の音楽を使う授業や友達とパートナーになり、自分たちで好きな文章を作って会話する授業、ALTと話す機会も多く与えてくれるような授業ばかりであった。そのような授業を受けているうちに英語を話せればアメリカなどの英語が公用語の国に人とはもちろんのこと、日本のように英語が第一言語ではない国の人ともコミュニケーションをとれることが素晴らしいと興味を持つようになった。更に、ある年のハロウィンではアメリカから来たALTが企画した箱の中に食材を使って人の眼球や人の指、脳みそに見立てたものを入れておき、私たち生徒がそれは何の食材なのかを当てるというゲームをした。その企画は驚いたがとても面白く、私がアメリカの文化にはじめてふれ、異文化にも興味を持った出来事であった。それ以来、海外ドラマや映画、音楽を見たり聞いたりしてきた。自分が英語をペラペラ話せたらどんなに楽しいだろうかと考えていたが、英語を話せるようになるなんて自分には無理だと思い、逃げてきた。大学進学も英語とは関係のない福祉を専攻することに決め、福祉を学んできた。
大学に入って3年が経とうとしていたとき、将来のことを考え始め、自分は何がしたいのかと考えていた頃、私のアルバイト先では連日、一,二組ほどであったが海外からのお客様が来店していた。ほとんどの方が英語を話せていたのだがうまく言いたいことが伝えられず、もし私が英語を話せていたらもっと楽しくお買い物をしてもらえたのにと歯がゆい思いをしていた。そこでフィリピン留学についての資料をネットでたまたま見つけ、今まで逃げてきたけれど、やっぱり英語を身に着けたい!と強く思い、一年休学してフィリピンへ留学することを決意した。とはいえ今まで最低限の英語しか勉強してこなかった私は低レベルのスタートで、半年間勉強したが、自分の目指していたレベルまで到達することができず、悔しい思いを残したままの帰国となった。しかし、フィリピンでは本当に素敵な時間を過ごした。私がいた学校では韓国人、台湾人、ベトナム人そして日本人らが合わせて300人程度が勉強していた。日本人以外の先生や生徒と交流することはもちろんのこと、日本人も老若男女さまざまな人がいて今までの人生観やなぜここへきたのか。そんなことを話すことは私の価値観や考え方を大きく変える要因となった。また、日本では見たことのなかったストリートチルドレン、食事の仕方やトイレの仕方の違いには大きく驚いた。多くの異文化にふれ、今までとは違う環境で過ごす毎日は今までの人生の中で最高だったし、とても素敵な友人もできた。また、つたない英語だったが、同じことで笑って泣いて怒って同じ感情を共有できることに感動した。もっともっと英語が話せたらどんなに楽しいだろう。もっと多くの人と意見交換がしてみたい。今まで逃げていた自分はとてももったいない時間を過ごしていたと後悔した。多くの後悔が残っている今、フィリピンで教えてもらった日本でもできる勉強の仕方で英語に毎日触れている。しかし異国の地でしっかりと英語の勉強がしたい。
また、フィリピンへ行き感じた事の一つが日本の英語教育についてである。私の時代は中学生から本格的な英語の授業が始まった。しかし、その授業内容とは試験を重視したもので、スピーキングが抜けたものであった。これでは逆に英語に苦手意識を与えているのと同じようなものだ。もっとスピーキング力の育成に力を入れて生きた英語を教育していくべきであると私は考える。フィリピンでは、小学生のころからEOP(ENGLISH ONLY POLICY)という、英語のみで授業をするスタイルが取られているそうだ。これからの日本は現在の英語の授業を見直し、こういった内容へ変えていくべきである。また、我々は外国の人と英語を使ってコミュニケーションをしていくことに恐れず、積極的になり、異文化にふれて感じて多くのことを学ぶべきである。そこで私は、SNSやWEBなどを使ってこれから自分が体験することを基にし、今の日本の学生や社会の方々へ海外に少しでも興味を持ってもらえるよう、動き出したいと考えている。まずは英語を自分のものにするべく、海外へ飛び立ちたい!!
最後に、英語はツールでしかない。それはフィリピンへ行って痛感したことである。英語を身に着けたからといって何かが急激にできるようになるわけではない。しかし、英語を通して得ることは想像以上に素晴らしい絆やあたたかい心。人間として大きく成長することができると確信している。

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